日本の「法医学者」を取り巻く何とも厳しい現実 フジ月9「監察医 朝顔」で上野樹里さん演じる
──上野樹里さんが新米法医学者を演じているドラマ『監察医 朝顔』では、上野さんに法医学者のことをお話しされたそうですが、上野さんの印象はいかがでしたか? また、上野さん演じる主人公の朝顔は、東日本大震災で母親を亡くしています。震災についてもお話されたと聞きましたが、ドラマで震災を描くことについてはどう思いますか?
岩瀬教授:私は上野さんのファンだったので、緊張して舞い上がってしまいましたが(笑)、熱心に話を聞いてくれて、とてもうれしかったですね。最近の若い子は、ドラマ『アンナチュラル』を見て、法医学を志望する人が増えているので、そういう効果がまた出てくれるとありがたいです。
実は、私自身、母方の曾祖父の一家が津波で全滅していて、祖父が1人だけ生き残って逃げてきた末裔なんです。だから、津波と聞くと「とにかく行かなきゃ!」という気持ちが湧いてきます。
上野さん演じる主人公も生き残りで私と同じだな、と。
東日本大震災に関しては、どういうシーンとして描くのか、一視聴者として楽しみでもあり、不安でもあります。
生きる者につなぐ、死者からのメッセージ
斉藤准教授:上野さんは、法医学のことを真剣に理解しようとしてくれているのがわかりました。いろいろな本も読んでいらっしゃいました。東日本大震災は、難しいテーマだと思います。
ただ、このドラマのプロデューサーさんに「ご遺族からお話を聞きたい」と言われ、一緒に陸前高田に行き、震災から初めてご遺族のお話を直接伺いました。当時、遺体安置所で自分なりにがんばりましたが、どうしてもご遺族に会う勇気がなかったんです。
このドラマがなかったら、話を聞く機会がなかったと思うと、ありがたいですね。これからも災害はいつくるかわからないので、前に進まないといけないと思いました。
岩瀬教授:法医学は、死者の尊厳はもちろんですが、これから生きる人たちにどう役立てていくかというものです。生きる者につなぐ、死者からのメッセージだと思っています。
(構成・文:出口恭子)
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