ダメ社員から人気作家になった41歳男の大逆転 作家・大橋弘祐はなぜ37歳から花開いたか

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「これでもう人生ゴールだな、と。このままこの会社にいれば問題ないんだと最初は安心しきっていました。でも僕、入社してからずっとダメダメなサラリーマンだったんです」

最初は営業、その後に広報部に異動しウェブサイトの運営などを行っていた大橋さん。しかし13年間、一度も昇進することはなかったという。

「大橋くん、会社というのは自分の好きなことをする場所じゃないんだよ」と言葉をかけてくれた先輩社員に感謝しています(写真:OCEANS)

「仕事がびっくりするぐらいうまくいかなくて、あまり面白さを感じませんでした。会議室でパワポの資料を見せられたり上司の話を聞いていたりすると、すぐ眠くなってしまうんですよ。そのわりに『俺がCM作れば面白いもの作れる』とか周りに言っちゃうような痛い会社員でした(笑)」

そんな20代後半の大橋さんにある先輩社員がこんな言葉をかけた。

「大橋くん、会社というのは自分の好きなことをする場所じゃないんだよ」と。

「『会社は自分の夢を叶える場所』と思っていた僕に、言いづらいことを言ってくれたその先輩には本当に感謝しています」

執筆業の原点は「合コン」

会社で好きなことができないのであれば、どうすればいいのか。大橋さんは当時、徐々にはやり始めていたブログサービスに目をつけた。

「理系だったのでコーディングとかが好きで、こういうウェブ系の仕事で生きていけないかなということを、なんとなく思い始めました。それでまずはブログを書いてみることにしたんです。だけど、まあ書くことがない。

それで、僕が持っているもので人に伝えてアクセスが集まるもの、反響があるものって何だろう?と考えたとき、浮かんだのは『合コン』でした。当時よく行っていたので……(笑)」

大橋さんは、自らの数々の体験をもとに、女性をタイプごとに分類して、どうやって仲良くなるかをブログに書いてまとめてみたところ、思いのほか、反響があった。それは、出版社勤務のOLが上司の指示のもとファッションブランドのマーケティング戦略を自身の婚活に生かしていくという小説『サバイバル・ウェディング』のプロトタイプとなるものだった。

「当時は、世の中にブログコンテンツがそれほど充実していませんでした。恋愛系コンテンツはとくに少なくて、アクセスも集まり、うれしくてのめり込みました」

昼は会社で働き、帰宅してブログを書き続けた。とはいえ、少々ブログが波に乗ったからといって、当然、会社を辞める決断には至らなかったという。

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