ダメ社員から人気作家になった41歳男の大逆転 作家・大橋弘祐はなぜ37歳から花開いたか
「大手通信会社に勤めていた13年間、僕は一度も昇進しませんでした」
そう語るのは作家の大橋弘祐さん(41歳)。身長180cmを超えるスマートな体型に、整った顔つき、モデルやタレントと見間違えるほどの爽やかな容姿だ。
2015年に発行された自身の小説第1作『サバイバル・ウェディング』(文響社)は、昨年、女優の波瑠主演で連続ドラマ化。また経済評論家・山崎元氏との共著『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(同社)など、『難しいことはわかりませんが』シリーズが39万部を超えるベストセラーとなった。
大橋さんは作家として執筆活動を行いながら、編集者として働くという二足の草鞋(わらじ)を履いている。
「昼は編集の仕事をして、帰宅してからはいったん眠るようにしています。パソコンにただ向かっていても何もアイデアが出ないことが多いので、短時間の睡眠をとって頭を切り替えるんです。22時頃に起きて、夜中2時ぐらいまで集中して原稿を書き、もう一度就寝します。毎日なにかしら執筆していますね。今は小説と歴史マンガの原作にエネルギーを注いでいます」
すっかり売れっ子作家・敏腕編集者として活躍する大橋さんだが、作家デビューしたのは4年前。37歳の頃だ。以前は大手の通信会社で広報やマーケティング部に勤務していたが、芽を出せずに “ダメリーマン”として長年くすぶっていたのだという。
30代後半になり、ようやく異業種で花開いた大橋さんの半生を聞いた。
人生を変えた「上司のある言葉」
目立ちたがりの学生だった。高校の文化祭では友人と組んで、コントを披露するなど前に出ることが好きだったという。誰かを笑わせたいというサービス精神、その片鱗は取材時の茶目っ気のある受け答えからも感じ取れた。
「高校生の頃は目立とうとして前に出て、盛大にスベるタイプでしたね。大学でも空回りしてました(笑)」
新卒で、大手の通信会社に入社。当時は就職氷河期の真っただ中だった。大橋さんもご多分に洩れず就活には苦戦したが、その末に勝ち取ったのは当時の就職ランキングで上位の大企業だった。