そうだとすれば「競技人口」としての高校硬式野球部員数は、発表された数字よりもさらに少ないことになる。ちなみに、野球部の女子マネージャーは「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(2009年/岩崎夏海著、ダイヤモンド社)」がベストセラーになって以降、人気が高まっている。
日本高野連の加盟校数も、2005年の4253校をピークに年々下がり続けている。しかし、その落ち込み方は部員数よりも緩やかだ。2019年の加盟校数は前年より14校減って3957校。減少率は0.35%だった。
これは、2012年から「部員不足の高校による連合チーム」での公式戦出場を認めたことが大きい。従来は、部員数が9人を割り込めば、試合出場ができなくなるため、場合によっては廃部、休部に追い込まれていたが、今は、そういう野球部も加盟校のままでいることができる。
そろそろ夏の甲子園へ向けた地方大会が始まっている。球場で販売される各県高野連が発行する公式ガイドブックには、加盟校と部員の一覧が掲載されているが、中には校名だけで部員が「0」の学校まで掲載されているものもある。加盟校の中にはそうした「休眠状態」の学校も含まれているものと思われる。
実質的な学校数の減少は、地方大会の規模縮小につながる可能性が高い。全国で最も加盟校数が少ない鳥取県は昨年、23校(連合チーム1を含む)で県大会を戦った。これは最も多い東京の268校の10分の1以下だ。東京では、6~7連勝しないと甲子園には出られないが、鳥取県ではシード校は4連勝すれば甲子園に出場できた。地方の高校野球の衰退によって「1票の格差」ならぬ「1勝の格差」は広がっている。
さらに加盟校が減少して、地方大会のツリーがもっと貧弱になれば、1978年以来維持してきた「1県1代表」を見直す時代がくるかもしれない。
大阪府も部員数は10年で4分の1減少
2010年との比較で、野球部員数の減少率が大きい都道府県のランキングを出すと以下のようになる。最も減少率が大きいのは福島県。2011年の東日本大震災も影響したと想定される。しかし減少率が激しい都道府県に地域的な傾向があるようには見えない。
過疎化が進む地方に交じって、大阪府やその近郊の奈良県も上位にくる。大阪府には大阪桐蔭、履正社、奈良には天理、智辯など全国屈指の強豪校があるが、全体の部員数はここ10年で4分の1前後も減少した。
新潟県高野連が昨年12月に「球数制限」の導入を決めたのは、県内の高校生以下の野球団体で作る「新潟県青少年野球団体協議会」が、競技人口の減少に歯止めがかからないことに危機感を抱いたからだ。
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