昨年末に、タイ・バンコクに平石クリニックを開設しました。タイの医療は日本より進んでいる分野もあり、私たちは研究も含めてタイへ進出しました。在留邦人も4万2000人以上を数え、毎年多くの観光客が訪れます。最近ではタイで老後を過ごすリタイア組も多く、親日派の国民性もその人気を支えています。冬でも20度以上の気候は、慣れると過ごしやすいのですが、バンコクは意外と高温多湿で、日本人には涼しい北方の旧都チェンマイやチェンライに人気があり、ゴルフ場も多いようです。すでに1000社以上の日系企業が進出していますが、日本人同士の交流も盛んで、ゴルフコンペはもとより男声合唱団も結成されているほど。ゴルフ場はどこも素晴らしく、アマチュアなどの国際大会も開かれています。
シングルハンディの駐泰商社マンによれば、日本と違い、ランチをせずに一気に18ホール回ることが多いとか。スタート時間はほぼ日本と同じですが、遅いときは猛暑の午後2時半を過ぎることも。途中、簡単な食事が取れるレストハウスもあるようですが、せいぜい1カ所。水を多めに用意し、余裕を持ってラウンドすることも必要ですね。キャディサービスは徹底され、道具はもちろん、バンカーの土ならしもキャディさんの仕事。キャディさんの領域を侵さないこともルールだそうです。
暑いタイで、特に気を付けなければならないのが、「ハチ」。そこで今回は「蜂刺症」について解説しましょう。蜂刺症は他の虫刺されと違って短時間で病状が急変することがあり、十分な注意が必要です。日本でも毎年40~50名の方が亡くなっています。ハチの活動は日本では7~10月に多く8月がピークですが、東南アジアは1年中で、肌を露出している腕や手・顔・頭が狙われます。
蜂刺症の約20%は全身症状がみられ、1カ所刺されても5~20分の短時間で発症し、そのほとんどが以前に刺された人です。つまり、1度刺されると免疫ができ、2度目から非常に危険なアレルギー症状が起こってしまうのです。さらにその約4%の人が意識を失うなどの重症に陥ります。原因はハチ毒で、総じてハチ毒キニンといわれ、局所症状は疼痛・発赤・じんましん・潮紅・浮腫、強い掻痒感・熱感が認められ、全身症状は発汗・呼吸困難・血圧低下・意識障害をきたします。応急処置として、局所の疼痛は冷却や消毒、痛み止めの内服薬を。しばらくはアナフィラキシーショックを起こさないか観察が必要で、様子がおかしい場合はベルトやシャツのボタン、ソックスをゆるめ呼吸を確保し、すぐに救急車を呼びましょう。
まずは、刺されないことが大切。白い服は虫が寄ってこないといわれ、逆に黒い服は暑いばかりではなく、ハチなどの虫を呼び込むようです。虫除けスプレーも必須アイテム。日本人は肌も弱く“いろいろな虫”にも弱い。出張先やレジャーでの楽しいゴルフが、事故にならないように。
1950年鹿児島県生まれ。平石クリニック院長。丸山茂樹、片山晋呉などのプロゴルファーをはじめ、野球、Jリーグなどのトップアスリートやプロチーム、企業や大学のスポーツクラブの健康管理や技術指導を行う。アーティストのコンサートドクターとしても活躍。
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