試合中のおやつ事情

プロゴルファー/小林浩美

 2月3日は節分の日。米国に住んでいたときにも、玄関と家中の窓を開け、殻付きのピーナッツをつまんで、居間や各部屋、キッチン、浴室、トイレを含め、「福は内、鬼は外」とかけ声を上げながら、くまなくばらまいた。そしてすぐ豆を拾い集め歳の数だけ食べた。

ピーナッツといえば、米国では試合中、選手がよくジッパー付きナイロン袋に入れて持ち歩いていた。小鳥のように、ちょくちょくつまんで食べている。袋の中は、ピーナッツだけではなく、アーモンドなどのナッツ類のほか、レーズン、カボチャの種、松の実なども混ざっていた。プレー中につまむ食べ物としていちばん多いのは、やはりバナナ。食べやすく、すぐエネルギーになるからだ。その他リンゴを丸かじりしたり、桃(日本のものと違って小ぶりで硬い)、ネクタリン、ブドウ(房からもぎ取ってばらばらにしたもの)、オレンジなどが食べられている。さらには、棒状の栄養補助食品(ツアーのスポンサーが提供してくださったもの)などは、皆、ゴルフバックにしのばせている。これらをプレー中歩きながらとか、前の組が詰まっているとか、同伴者がトラブっていてプレー待ちがあるときに、食べている。

私がいつも持っていたのは、バナナのほかにサンドイッチ。選手ラウンジに毎朝並んでいる朝食の中から、食パンを2~4枚取り、ピーナッツバターやイチゴジャムを塗ってサンドイッチを作る。それをプレー中いつでもつまめるように、食べやすい大きさに切って持っていく。他の選手のやり方を真似たものだ。米国女子ツアーの試合は男子と同じくほとんどが4日間競技。18ホールをスルーで昼食休憩なしでプレーする。たとえば、予選1日目のスタート時間が午前スタートなら、2日目は午後スタートになる。午前のスタートなら、お昼前後にはプレーが終わるのでおやつの心配はほとんどいらない。午後のスタートになったら、朝昼兼用のブランチを取る場合が多く、プレー終了が夕方になるので、お腹が持たない。まして、雷雨のよくある季節になるとプレー中断(サスペンデッド)も多くなる。お腹が減っては力も出ない、ということでおやつは必ず持って出る。

これまでの経験から、満腹では体が重くて頭の働きも鈍くなる。ちょっとお腹が空いているくらいの方が、体の動きも神経の働きもシャープでいられる。だから、間食も1回にたくさん食べないで、小鳥のようにちょこちょこ食べていく。また、プレーが終了したら仲間と連れだって食事に行くが、そのときも、体調に合わせて食べ物の量と中身を考える。試合中はだいたいサラダとメインディッシュ、デザートで終了。大抵どの選手も案外簡素なのだ。米国の食事はおいしさという点では日本での評価は芳しくないが、これも舌が慣れるとおいしく感じられる。米国でのゴルフも食事も習うより慣れろ、かも。

プロゴルファー/小林浩美(こばやし・ひろみ)
1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)理事。TV解説やコースセッティングなど、幅広く活躍中。所属/日立グループ。
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