小澤:ご指摘のとおり、物流面での競争ってアマゾンの独り勝ちなんですね。というのは、ビジネスモデルが違って、楽天やヤフーっていうのはマーケットプレイスですが、アマゾンは基本、自社販売ですから、在庫と物流をコントロールできる立場にいるわけです。
我々はどうしても出店者さんから直接送っていただくので、送付までの時間もコントロールできなければ、その送付の手段もコントロールできないということです。今はどうしているかというと、「アスクルさんの倉庫に物を預けてください、そうすれば、発注後、自動的に私どもの作業でお送りしますよ」と言っています。これがフルフィルメント・サービスという形で、この比率を上げましょうと。
アスクルのシステムは素晴らしいので、当日の配送が可能です。10時までの発注であれば、当日に送れます。これを中心に、アスクルの直販事業部である、LOHACO(ロハコ)というサービスがものすごく数字を伸ばしていて、「ああ、やっぱり物流面での改善というのは、明確な意味があるなあ」と。行きの電車のなかでミネラルウォーターを頼むと、帰ったら到着していることになりますので。これは自信を持って、出店者さんのみなさんに物を預けてください、と言っています。
一方で、先ほど言っていた「eBay NOW」、これにも大変注目しています。これはもういわゆる、出前なんですね。食べ物だったら当たり前の、発注後、30分で届けますと。これをいかにやるかということは、とても重要な話だと思っていて、とりあえず、今自転車を3台導入しております。これでまず実験をしてみようじゃないかということです。Yahoo!ショッピングでも、近々何かしら展開したいと考えていますが、これはマジです(笑)。たとえば、特定の場所で、30分程度で配達できないか、ということです。
小野:先ほど説明不足だったんですが、「eBay NOW」というのは、eBayが別に持っていない、全然違う店舗、まあこれはローカルなエリアに限られているんですけれども、「このショップの商品を持ってきて」って頼めば、持ってきてくれる。そういうサービスですね。
川邊:そうですね、我々は社内で「パシリ」って呼んでいます。「パシリサービス」と呼んでいます。でも何だか面白いですよね、アマゾンにしてもeBayにしても。
小野:これは非常に可能性がある分野だと思います。そろそろ残り時間が10分くらいということなので、会場のほうからも質問を受けたいと思うのですけれども、質問があるという方、挙手していただければ。
――フリージャーナリストの林信行と申します。今までEコマースというと、物量で勝負するのが1つの軸としてありましたが、小売店でいうところの量販店を目指すベクトルなのか。
それとも、三越伊勢丹さんがしようとしているように、商品の価値をちゃんと届けよう、商品の1個1個の商品の裏のストーリーまで含め、ちゃんと見せるというベクトルなのか。そこをどう考えているかについて、意見を伺えればと思います。
大西:私どもは、後者の部分を、まずやっていきます。先ほど小澤さんや北川さんからも「キュレーター」という言葉が出たんですが、自分たちが培ってきたものと、その商品の背景をきちっとご説明していかないと、数で勝負するのはもう無理ですから。私の話している数字の桁と、ほかの3人の話している桁が、もう明らかに2桁くらい違いますので。我々としては、この分野に入っていくためには、コンテンツの質や絶対的価値を高める必要があると思っております。