小澤:リアルとインターネットというのは間違いなく融合していくでしょう。今、「オムニチャネル」のような用語も出ておりますが、用語はさておき、間違いないと。で、いくつかの動きがあります。
1つは今、ヨーロッパ中心に出ているのがデリバリーがない世界ですね。家でポンポンポンと注文しておくと、近くのスーパーに行くと、もうそれがピッキングされていて、レジすら終わっていて、品物を受け取るだけ。これはもう非常にわかりやすいですね。
今まででしたら、スーパーに行って、自分でピッキングして、自分でレジを通っていたものが、「どこにあるのかな?」なんて探す手間もなく、インターネット上で近所のスーパーで注文をトントントンとして、物だけ受け取りに自分が行くというパターン。もちろん来ていただくというパターンもありますけども、そもそもスーパーに行くよりも、ピッキングが終わっている分、楽ですよね。こういう流れがもうかなり出てきています。そして、そのレジを通らないでいい、というのも今の延長線上であります。
それから店頭の在庫だけに縛られない、という意味においては、おそらくユニクロさんなどが考え出してはいますが、在庫を共通化して、店舗でサンプルを見ながら、ショールーミングして、店頭でインターネットを通じて決済と発注まで終えて、家に帰ると商品が着いている、みたいな世界観。リアルとインターネットがどんどんどんどん融合していく、というのは間違いないですし、はるかに合理的ということになります。
私どもとして、どこまでリアルの方々とご一緒させていただく余地があるかというと、Yahoo!ショッピングは最初から申し上げているとおり、「共存共栄」という道を歩みましたと。私どもの上でたくさん売っていただける方々をできるだけ増やして、共存共栄の世界観をやるという意味においては、リアルに相当入っていくことになると思います。
オフラインとオンラインの違い
北川:そうですね、小澤さんのおっしゃっていた、リアルとの融合って面白くて、たとえば、アメリカでは(家電量販店の)ベストバイが盛り返しつつあります。何をしたかというと、オンラインでオーダーをしたあとに、ベストバイのリアル店舗でピックアップするサービスを始めたんですね。彼らの調査によると、今だいたい全商品の50%が「リアルだけ」、30〜40%くらいが「ネットで影響を受けたリアルの購買」、残りが「eコマース利用」だと言っているんですね。
そんな形の融合も出てきますので、三越さんなどと一緒にやっていく中で、僕らとしては、そういった可能性も含めて検討していくんだと思います。
僕らはもう1つ、楽天マートというネットスーパーもやっていますので、余計にそういったセルフデリバリー、グローサリーショッピングといったところにも、すごく思い入れがあります。ピッキングされているだけでなく、ピッキングされている内容が、たとえば、ある料理に使うための食材がちょうどいい分量だけ入っている、といったこともでき始めるんですね。うちでもそういうサービスや商品を売ったりしています。
川邊:ヤフーは最近、ソフトバンクテレコムと一緒に、「ウルトラ集客」というO2Oのソリューションを提供しているんですね。イオンさんとかユニクロさんとか、いくつかのリアル店舗にクーポンのチケットの発行コーナー、機械を置いて、それを持っていくと何かもらえる、みたいなことをやっています。
これはこれで一生懸命やっているんですが、いろんなデータを見ていて最近ちょっと思うのは、O2Oのオフラインのほうは、値引きや、ジュースが1本もらえる、といったやり方ではネット側に勝てないだろうなと。オフライン側は、極上のものがあって、それに人が来るというのが本当のO2Oなんじゃないかなという気が最近しています。イオンさんともユニクロさんともご相談しなきゃいけないんですけど。
伊勢丹三越さんには、先ほど来ずっと「金の風呂を売ったほうがいいですよ」と、大西さんにも迫ってちょっと嫌がられていたんですけれども(笑)。「極上のもの」っていうのがオフライン側の出口にだんだん変わっていくんじゃないかなと。テイルとか、いわゆるそのコモディティのものは、やっぱりどんどんネットになっちゃうかなっていう気がしています。