時給「1000円ぽっち」払えない企業は潰れていい 日商「最低賃金アップ反対論」は国益に反する
1000円の最低賃金すらも払えないほど才能のない、存続する意義の乏しい企業の経営者が「社長」と名乗り続けるために、不適切に安い賃金で「労働者をこき使わせてください」と政府に訴えているにすぎないのです。
国益を無視した日本商工会議所の主張、ここがおかしい
先ほど紹介した日本商工会議所の「中小企業の倒産が続出する」という最低賃金の引き上げに対する反対理由は、まったく的を射ていません。
人手不足でなければ適切な意見だったかもしれませんし、高齢者問題がなければ考慮の余地もあったかもしれません。しかしこの2つの大問題を前にすると、日本商工会議所の反論は単なる条件反射的な拒否反応のようにしか思えません。
現在、日本で最低賃金で働いている人は、全労働者の約1割だと言われています。ですので、仮に最低賃金が引き上げられ、彼らの何%かが職を失うことになったとしても、大量の失業者が出ることにはなりません。
現に、ここ20年近く最低賃金を上げ続けてきたイギリスでも、経営者団体は同じような脅し文句を言っていましたが、失業率は逆に低下しました。しかも、その因果関係は大学によってきちんと検証されています。
日本商工会議所ほどの大組織が国の政策に口を挟むのでしたら、「失業者がいっぱいでるぞ!」などという根拠もない大声を上げるのではなく、きちんとした分析を行って、エビデンスを提示するべきです。
最低賃金が1000円になったら、どの県で、どれだけの数の会社が倒産して、何人の労働者の雇用が失われるのか。人手不足で何人が採用され、失業率はどうなるのか。それをきっちりと分析したうえで反対意見を出してもらえなければ、なんの説得力も持ちません。
今のままでは、ただの感情論でしかなく、小さな子どもが「やだ、やだ、やだ」と言っているのと変わらないのです。
いろいろなところで申し上げていますが、今の日本は人口減少と高齢化の同時進行という、世界のどの国も経験したことのない、未曽有の危機に直面しているのです。その日本の将来を左右する政策に対して、ろくな分析結果も示さず、根拠なき反論をするのは無責任極まりないとしか言いようがありません。
とくに、最低賃金を上げると失業者が増えるという考えは、あまりにも単純すぎます。その考え方の背景には、「売り上げは不変で、賃金に使える予算も一定。だから賃金が上がると、倒産するか、賃金が上がった分だけ人を減らして人件費を削らなくてはいけなくなる」という、極めて単純かつ短絡的な思い込みが存在しているように感じます。
見方を変えると、この場合の企業の経営者は、「売り上げを増やすことができない」と言っているのと同じです。そもそも売り上げを増やすことのできない経営者に、経営者を名乗る資格はありません。こんなことを堂々と言い出す日本商工会議所とは、無能な経営者の集まりなのでしょうか。
最先端技術を使ったり、輸出を考えたり、新商品の開発をしたりと、売り上げを増やす方法はいくらでもあります。実際、ほかの先進国はそうやって生産性を伸ばしてきたのです。
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