フェラーリをはじめ、多くのスーパーカーメーカーにとって、一般の自動車メーカー同様に電動化は避けて通れなくなっている現状があるのは確かだ。小規模なスーパーカーメーカーにとっても安全基準、環境への対応が年々厳しくなり、もはや少量生産ということによる環境基準などへの恩恵もなくなりつつあるのだ。その対応のために、さまざまなデバイスが付加され、クルマは大きく重くなる。そのために高出力のエンジンやモーターなど複雑なシステムを採用することになる。
現在、ヨーロッパで生産するモデルに対応が求められているユーロ6d-TEMPというCO2排出量などの規制はさらに厳しくなり、2020年にユーロ6dが適用される。その測定条件も実際の走行に対応したステージ2RDEが適用されるという。
特殊なスーパーカーを公道走行可能にするハードルはどんどんと高まっている。いっそのこと、サーキットで楽しむ専用車としてしまえばいいのかもしれないが、そのマーケットはたいへん小さい。各スーパーカーメーカーはこの厳しい規制に対応するために、自社で技術開発を行うか、技術を持ったサプライヤーと提携しなければならない状況にある。
騒音規制の強化
もう1つのスーパーカーに対する逆風は騒音規制の強化だ。フェラーリが存在感を持ちうるのも、あのF1を彷彿するかのような甲高いエキゾーストノートであることは否定できない。オーナーによる違法な改造は論外として、サウンドはスーパーカーの魅力を醸し出す重要なポイントなのだ。
日本の自動車メーカーは、伝統的に“エキゾーストノートを創る”というDNAを持ちえておらず、かつてはひたすら音量レベルを小さくするというところに重点がおかれているだけであった。それを打破したのはレクサスLFAくらいであろうか。
一方、ヨーロッパでは、その音に対するチューニングにひたすらこだわった。フェラーリならフェラーリらしい音、マセラティならマセラティらしい音と……。開発部門にはエグゾーストノートに関するエキスパートが存在し、少なからぬコストをその開発にかけていた。
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