フェラーリが乗り越えるべき「2つのハードル」 スーパーカーは環境規制にどう対応するのか

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自社製造モデルの「ダラーラストラダーレ」(筆者撮影)

フォーミュラeやインディカー・レースなどへの独占的シャーシ提供を行い、現在のレース業界になくてはならない存在であるダラーラ社がそのトレンドへと名乗りを上げたのは2017年のことであった。その創始者であるジャンパオロ・ダラーラはランボルギーニ・ミウラという自動車史に残る名車を開発した人物でもある。

「理想のロードカーを作りたいという私が長年持っていた夢を実現したクルマが完成しました。ライトウエイト、そして強力なダウンフォースを持つマシンで、さらに最高の安全性も確保されています」(ダラーラ)

ダラーラ社の創業者であるジャンパオロ・ダラーラ氏(筆者撮影)

ダラーラが披露してくれたのはダラーラストラダーレという自社製造モデルであった。そのモデルにはドアすらなく、低いボディをかつてのレースマシンのようにボディをまたぎ乗り降りするというこだわりが垣間見える。

取り外し式のウィンドウスクリーンは世界で初めて公的に認証を受けた樹脂製であり、ボディ・シャーシは最新の複合素材を多用した自社製の超軽量タイプ。数々の軽量化のこだわりの結果、車重はなんと855kg(乾燥重量)だという。多くのモデルが1500Kg程度はある現在のスーパーカーの中で、驚異的な軽さだ。

「軽量化によってすべての問題が解決し、ほかのクルマでは味わうことのできないスポーティな走行を楽しむことができます」とダラーラは語る。

日常でも楽しめるスーパーカー

マクラーレンF1というこれまた伝説的な3シーター(中央がドライバーで横に計3席が並ぶ)モデルの設計エンジニアであるゴードン・マーレーも先日、新型スーパーカー”T.50“プロジェクトを発表した。

こちらもマクラーレンF1同様の横3列レイアウトを採用し、980kgという軽量化を達成。空力を追求し、強力なダウンフォースを生み出し最高の動力性能を発揮するという。この両モデルにおける開発コンセプトには大きな類似点がある。

つまり、ハイパワーを競い、環境基準に合致すべく大形化していくスーパーカーに未来はあるのか、という現在のトレンドに対するアンチテーゼだ。超高速域だけでなく、日常の運転の中でも”ファントゥードライブ”を楽しむことができるのがこれからのスーパーカーである、というのが、ダラーラやマーレーの考え方だ。

環境や安全への配慮がさらに強く求められる時代の流れの中で、スーパーカーも、変わって行かねばならないであろう。未来に向けてスーパーカーの存在意義を持ち続けることができるのか。まさに今、正念場におかれている。

越湖 信一 PRコンサルタント、EKKO PROJECT代表

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えっこ しんいち / Shinichi Ekko

イタリアのモデナ、トリノにおいて幅広い人脈を持つカー・ヒストリアン。前職であるレコード会社ディレクター時代には、世界各国のエンターテインメントビジネスにかかわりながら、ジャーナリスト、マセラティ・クラブ・オブ・ジャパン代表として自動車業界にかかわる。現在はビジネスコンサルタントおよびジャーナリスト活動の母体としてEKKO PROJECTを主宰。クラシックカー鑑定のオーソリティであるイタリアヒストリカセクレタ社の日本窓口も務める。著書に『Maserati Complete Guide』『Giorgetto Giugiaro 世紀のカーデザイナー』『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング』などがある。

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