しかし、国連自動車基準調和世界フォーラムにおいて規定される自動車の走行音に対する規制が、このところ一段と強化されている。現在はフェーズ1の規制値がヨーロッパに導入され、日本における認証もそれに基づいているが、2020年にはさらに厳しいフェーズ2が導入される予定だ。
現状のフェーズ1でも、それはかなり厳しいもので、エグゾーストノートとタイヤから発生する路面との摩擦音の総和は、いわゆるスーパーカーにおいては規定値ギリギリのものがほとんどと言ってよい。で、あるから音量の大きいタイプへの改造などはもってのほかだ。
筆者もそのガソリンエンジンを持つ自動車が醸し出すサウンドの魅力を愛でる1人であるが、音に関する感じ方は十人十色であることも十分理解している。音の大きさではなく、その質でエグゾーストノートを楽しむよう心がけなくてはならない。
要は、その次なるフェーズ2が導入されたとすると純粋なガソリンエンジン自動車がそれをクリアするのはたいへん難しいと言われているのだ。であるから、スーパーカーの迫力あるサウンドを楽しむことはかなり難しくなると言わざるをえない。この規制により、スーパーカーの持つ重要な魅力を失ってしまうことは明らかだ。
パフォーマンスの追求としての電動化
スーパーカーに対する逆風の中、ブランドDNAを維持するためのストーリーにもこだわらなくてはいけないところが難しい。純粋なスポーツカーというDNAをアピールしたい彼らにとって、環境のために妥協してさまざまなデバイスを採用するというのは、口にできない。決してプラスにはならないのだ。だから“電動化はあくまでパフォーマンスの追求”とやせ我慢しなければならない難しさがある。
これら、電動化というスーパーカーのトレンドに対して、実はもう1つのトレンドがある。それは徹底した軽量化の追求だ。軽量化はもちろんスポーツカーにおいて重要な要素であり、どのメーカーもそれを目指していたが、それを最新のテクノロジーで究極まで追求する。
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