帰国子女にもある「英語格差」の知られざる実態

日本への帰国者が殺到する「高1の壁」

海外子女は凄まじい英語のプレッシャーにさらされている。アメリカ中西部の州で現地の高校を卒業し、現在は都内の大学に通う田中明日香さん(仮名)も、「英語ができるかは死活問題なので勉強した」と語る。「(帰国子女は)英語が自動的にできるようになるみたいに思われているが、本当にできる子はコツコツまじめに勉強してきた子」。

田中さん自身は2度渡米しているが、2度目は1度目から7年経っていたこともあり、英語力を「イチもなく、ゼロから全部積み上げる感じだった」。とくに英語圏の現地校や、非英語圏でもインターナショナルスクール(インター校)に通う場合は、すべての授業が英語で行われるため、英語ができるか否かが学力差にもつながる。

帰国子女の教育に長年携わってきた駿台国際教育センターの髙島秀行氏は、「最初は英語ができないことで、友達とのコミュニケーションがとれなかったり、先生が出す宿題がわからなかったり」苦労する子の話を数々聞いてきた。極端な例では「英語がまったくわからないまま1年間ただ座っていた」という子もいたという。

英語の上達を左右する複数の要因

英語が上達するかどうかはそもそも学ぶ機会が与えられているかどうかにもよる。

分かれ目の1つが、親の赴任先が「英語圏」かどうかである。2018年の海外在留邦人数統計調査(外務省)を年齢別にみると、非英語圏がほとんどを占めるアジア・西欧では年齢が上がるにつれて在留邦人数が減少する傾向にあるのに対し、北米ではほぼ横ばいとなっている。この統計では留学生や永住者なども含まれているため単純な比較はできないが、北米では高学年になっても比較的現地に残る子が多いといえる。

北米など英語圏では、学費のほとんどかからない現地の学校でも英語で教育が受けられるため、子どもを現地校に通わせることが多い。前述の田中さんのように本人の努力が必要ではあるものの、駐在家庭が多額の学費を負担せずに、子どもが英語を習得しやすい環境に身を置くことができる。

しかし、非英語圏では事情が異なる。アジアやヨーロッパ、アフリカなど英語が公用語ではない地域では、日本人学校が設置されていることが多く、子どもは現地校、インターナショナルスクール、日本人学校から通う学校を選ぶことになる。

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