所有率世界7位、スイスで銃乱射を聞かない意味

東大の学生と国際政治の根本について考える

小原:僕らが住んでいる日本という社会は、治安のよさで世界的に知られている。その背景には、犯罪の原因となる「貧富の格差」や「人種・民族間の対立」といった問題がさほど深刻ではないこと、あるいは警察の能力や国民の遵法意識が高いといった点も指摘できるだろう。そして何よりも、銃の所持が禁止されていることが大きな要因であることは間違いない。

アメリカは、皆も知っているとおり国民の銃所持が基本的に認められていて、民間人による銃犯罪が絶えない国だ。なかでも、学校での銃乱射事件、いわゆる「スクール・シューティング」は、日本ではまず考えられないことだが、アメリカではたびたび起こっている。教室に突然、銃を持った男が押し入ってきてあたりかまわず銃を乱射するなんて、想像できるだろうか。

青山:日本では想像できませんが、ここがアメリカなら十分想像できます。というのも、私は以前、アメリカの大学に留学していたことがあって、ある日突然「大学のキャンパスに銃を持った卒業生がうろついている」という情報が流れてきて、動けなくなるほどの衝撃に襲われたことがあります。そのときの恐怖感は表現できないほどに大きくて、日本に帰ってきてからも、銃撃される場面をつい想像してしまって眠れない日々が続きました。

小原:それは……大変な経験をしたね。話してくれてありがとう。今の話に、ほかの皆も、アメリカの銃社会の恐ろしさを感じたんじゃないかな。青山さんには、そのときの記憶をよみがえらせてしまうようで申し訳ないのだけれど、銃規制について議論するうえではどうしても見ておいてほしい1枚の写真がある。

銃が絡む事件で毎年1万人以上が命を落とす

これは、アメリカのある小学校で起きた銃乱射事件の現場をとらえた写真だ。子どもたちが警察に連れられ、泣きながら避難しているのがわかるだろうか。不安におののく子どもたちと、その安全を守ろうとする警察や先生たち。この光景は、銃犯罪が絶えないアメリカ社会の一面をとてもよく表している。

アメリカでは、銃が絡む事件で毎年1万人以上が命を落としている。2018年には、ほぼ毎日のペースで銃がらみの事件が起きた。

ある調査によれば、アメリカでは銃による死亡の可能性が、ほかの主要な死因よりも高いという。

また、ニューヨークとロンドンの治安を比較したデータでは、強盗に襲われる可能性は両者で同じ程度だけれど、襲われた場合に命を落とす可能性はニューヨークのほうが54倍も高いという。これが、アメリカという社会の現実なんだ。

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子どもをめぐる悲惨な事件が後を絶たない。親からの虐待、保育園事故、不慮の事故……。子どもの命の危険とその解消策を検証した。長時間労働が深刻な児童相談所の実態、低賃金・高賃金の保育園など保育士の処遇に関する独自調査も。