10年間車いすの客を待ち続けたバー店主の願い

大分で開業、故忌野清志郎氏に背中を押され

「ドアのレバーがなぜこの位置にあった方がいいのかといったことや、スロープは少しの角度でも登るのが大変なことなど、細かいですが大事なことを教えていただきました。町の中には一見バリアフリーをうたった施設がたくさんありますが、実は使えないものや、使いづらいものがたくさんあることも、話を聞いて知りました」

車いす用の広いトイレも、アドバイスを受けて作ることを決めた。

「尿意を感じることができない方も多く、時間を見ながら処理しないといけないので、あったら助かると聞きました。店内の段差は介助があれば何とかなりますが、トイレはそうはいかないので、ぜひ作ろうと思ったのです」

車いすでもスムーズに移動できる広いトイレ(筆者撮影)

とはいえ、雑居ビルにバリアフリーの店を作ることは簡単ではなかった。まず物件探しが難航した。1階では賃料が高すぎるため、2階以上の空室を探した。

すると、どうしても段差があったり、エレベーターがなかったりと車いすで動くには障害が多く、店を作ることはできないビルが多かった。

難航する物件探しにオーナー、建設会社が協力

探し始めて半年が経った頃、現在のビルのオーナーと出会った。オーナーと建設会社の社長は関元さんの希望を聞いて、借りてきた車いすに乗って、実際にビルの中を動いてみた。

エレベーターやフロアに問題となるような段差はなかった。しかし、よく注意してみないと気づかないが、道路とビルの間には溝があり、鉄板で覆われていた。このままでは事故が起きやすいというのだ。

車いすユーザーの話を聞くと、実は車いすが転倒する事故は、建物から道路に出たときに起きることが多いという。車いすユーザー以外はなかなか気がつかないが、道路は中央部分が高くなっていて、端から中央に向けて登り坂になっている。意識が散漫になっていると、この坂で転倒しやすくなるという。

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