10年間車いすの客を待ち続けたバー店主の願い 大分で開業、故忌野清志郎氏に背中を押され

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この話を聞いてビルのオーナーは、ビルと道路の間を平らにする工事を自分の負担で行った。現在、関元さんの店が入居するビルと、オーナーが所有するもう一つのビルの入り口が、フラットになっているという。

手前が道路。ビルとの段差をなくす工事をオーナーが請け負ってくれた(筆者撮影)

「オーナーが工事をしてくださったおかげで、車いすの方が転倒するリスクが少なくなりました。車いすの方もこのビルは違うな、とすぐにわかるそうです。オーナーのご厚意は本当にうれしかったです」

バリアフリーの店を作る上でもう1つ大変だったのは、費用がかかることだった。そもそも居抜きであれば工事費はほとんどかからない。しかし、解体して一から作り直すうえ、完全バリアフリーにすることで、工事費は通常の店舗を作るよりも倍に膨らみ、600万円が必要だった。

親交のあった故忌野清志郎さんの言葉で決心

関元さんは鹿児島の雅叙苑で働いているとき、将来の独立を考えて昼間に別の仕事もしていた。それでも見積もりを見て困ってしまった。

その時に背中を押してくれた人がいる。雅叙苑を定宿にしていたロックミュージシャンの忌野清志郎さんだ。忌野さんや、一緒に活動していたギタリストの三宅伸治さんらは雅叙苑を訪れるたびに、関元さんが作ったカクテルを飲み、時にはシークレットライブを開催していたという。

「清志郎さんや三宅さんと交流させてもらう中で、つねに弱い立場の人のことを考えている清志郎さんたちならどうするだろう、と考えて行動するようになっていました」

関元さんは悩んでいるとき、忌野さんと話したことや、忌野さんが作った曲の歌詞を思い出した。中でも忌野さんのバンド、RCサクセションの『空がまた暗くなる』という曲が、勇気を出すようにと関元さんの背中を押した。

費用はかかるけれども何とかなるだろう、と関元さんは一歩を踏み出し、バリアフリーバーのオープンを決意した。

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