突然やってくる「親の介護」にいくらかかるか 老後資金を備えておかないと破綻しかねない

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しかし、この金額はあくまでも目安でしかありません。なぜなら、介護サービスは全国一律ではないからです。さらにいえば、親もしくは自分が住んでいる場所でしかサービスを受けられませんから、近隣の安いところで受けようとしてもそれはできません。

高齢者介護施設一つとっても、65歳以上人口あたりの設置率が異なり、その施設もホテルと見紛うような高級な施設もあれば、その逆もあります。介護サービスを受ける市区町村でどんなサービスがあり、それがいくらなのか、ざっくり把握することが必要です。

そのために、まずは手軽にネットで調べることです。昔と違って、介護サービスの提供者は民間企業から農協、生協、NPOなど多様な事業者が参入しており、その多くがネットで実績や利用者の声なども公表しています。

介護が発生してから慌てて探すのではなく、事前に冷静な判断ができるときから、これらを調べて目星をつけておけば、いざ介護となったときにこういうサービスを受けたいとか、この施設が通いやすいので使いたいなどと、地域包括支援センターやケアマネジャーに伝えられます。そうすることで、要望に合ったケアプランを作ってもらうことができます。

逆に、まったく知らないでいると要望を伝えられないので、ニーズに合った施設やサービスが提案されず、不満を抱いたり、嫌々ながら不都合を我慢したりするという残念なことになりがちです。

自己負担額と今後のキャッシュフローを把握しておく

もう1つ、事前に把握すべきなのは、介護を受ける側が公的介護保険以外に自己負担すべき費用です。

介護保険に自分のお金で上乗せして、よりレベルの高いサービスを受けようと思うと、キリがありません。でも、どの世代においても、介護は自助努力を第一に考えるべきです。親の介護は親の年金と資産で、自分とパートナーの介護は自分たちの資産と今後の稼ぎと年金で賄い、子どもたちには負担を負わせないのが原則だと思います。

そのためには、将来のキャッシュフローを把握しておくことが不可欠です。老後のキャッシュフローを考えることは定年後の働き方を考えるうえにおいても欠かせませんが、医療・介護における選択にも欠かせません。

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