突然やってくる「親の介護」にいくらかかるか 老後資金を備えておかないと破綻しかねない
ここまで、金銭面に関することをお話ししてきましたが、お金以外にも準備は必要です。早急な手当てをお勧めしたいことが、3つあります。
それは、親のネットリテラシーの向上、不要なモノの整理、エンディングノートなどを活用した重要情報の整理です。後者の2つは終活との関連でも取り上げられていますので、ここでは「親のネットリテラシー向上」について触れたいと思います。これは遠距離など同居していない場合に、とくに有効です。
ネットといっても、想定しているのはそんな大げさなものではなく、①Face timeやLINEのビデオ通話、②Amazonなどのネット通販、③ネットバンキング、の3つです。
Face timeやLINEのビデオ通話ができると、お互いの顔を見てコミュニケーションできるので、メールや声だけではキャッチできない親の体調変化や感情の揺れまで見て取ることができます。わが家でも活用していますが、そもそも親に使ってもらうきっかけになったのは、80歳を超えた母が転んで骨折したことでした。
電話での近況確認の際にはいっさい知らされず、数週間後、お正月に実家に帰ってびっくりしたという事件があったからです。こんな調子で我慢されては病気も重症化するまで気づいてあげられず、大変なことになりかねません。ありがたいことにiPadに興味を持ってくれたので、操作を伝え、一緒に練習し、今は毎週ビデオ通話で話をしています。
ネットを活用すれば、自立して暮らせる期間が長くなる
Amazonなどのネット通販を利用すれば、重い物や紙おむつのようなかさばる物でも宅配で購入できますから、運転免許を返上した高齢者にとっても生活を維持するうえで大きなサポートになります。またネットバンキングを利用すれば、自宅にいながら資金移動や資金管理ができます。銀行の店舗が減っている中で、今後ますますネットバンキングの有用性は増すと思います。
総務省の「情報通信に関する現状報告」(平成30年版情報通信白書)によれば、現在の現役世代にとっては当たり前のインターネットも70代では2人に1人、80代では5人に1人しか利用していません。認知症が進んでしまうと、これは無理ですが、まだ元気な高齢者なのに、使ったことがないとか、使い方がわからないということがネックになって、利用していない人は少なくありません。
ぜひ親御さんに手ほどきをして、安心して使えるようにしてあげてください。それは少し遠のいた親子のコミュニケーションを復活させ、親が自律して暮らせる期間を長くすることにきっと役立つと思います。
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