TATERUの業務停止処分は「厳しすぎ」なのか 「資料改ざん」発覚で事業の継続性も不透明に
TATERUの古木CEOはこれらの事実は認めているが、同社の代理人弁護士は「処分は厳しすぎる。顧客は十分な利回りが出ており、要望があれば不動産の買い取りをしている。実際に損害を受けた顧客はおらず、社会的な影響は出ていない。(宅建業法の)処分基準や先例に照らせば、業務停止処分は(国土交通省の)裁量を逸脱する違法な処分と言わざるをえない」などと主張。問題行為の解消を命じる「指示処分」で十分だと主張するなど、争う構えを見せた。
「当社はアパートを経営する2089人のオーナーと管理委託契約を結び、2万5528戸の部屋を管理している。もし業務停止処分すればオーナーと入居者に大きな混乱が生じる。本件は当社の不動産売買業務に関して行われたもので、媒介業務(に関して行われたもの)ではない。百歩譲って業務停止処分を行うにしても、不動産売買業務に限って行えばいい。それ以外を業務停止する必要性は乏しい」。
今後も資産や子会社の売却が続く
現在は、前2018年12月末時点で約92億円あったアパートの建築請負の受注残を消化しているほか、取引先や顧客から買い取った不動産を赤字売却することで糊口をしのいでいる。
自粛していたアパートあっせんの営業は再開したものの、不正や金融機関の融資引き締めの影響もあって、受注は低調のようだ。今後はビルなど中古物件のリノベーションと民泊、IoT機器販売などを軸に経営の立て直しを図る計画だ。とはいえ、民泊とIoT機器販売を合わせた売上高は第1四半期で2億円強しかない。460人近くいる従業員を養っていける事業規模ではない。
6月25日には1度は売却を決めた不動産マッチングサイト運営子会社・インベストメントオンラインの売却を断念。今度は持ち分会社でホテル運営・企画のトラスタを「財務体質の強化および資産効率の向上を図るため」に売却すると発表した。
TATERUは昨年5月に海外投資家向けの増資を行い、手元のキャッシュは3月末で100億円弱と余裕がある。とはいえ、ビジネスモデルが行き詰まった以上、新たな道が見つからなければ過去の遺産を食い潰すだけの状況と言える。先行きは決して明るくない。
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