「もう年だから」の一言が「ダメ!絶対」な理由 86歳、料理研究家「棚ぼた人生」の秘訣とは

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1度にうまくやろうとしなくていい。時々失敗して、それを生かして成功に持っていったらいい。いきなり成功するなんて、できないと思う。料理もそうだ。だから、まずはやってみることが大切だ。

どんな年代の人でも、ほんのちょっと意識を変えるだけで人生は変わっていく。俺はそう思っている。

「もう年だから」は「年寄りの大病」だ

年寄りがよく使う言葉で俺が大嫌いなのが、「いまどきの若いモンはなってない」。

今の若い人のほうが、自分たちの若い頃よりしっかりしている、と言う小林さん(撮影:今井康一)

じゃあ、自分が若いときはどうだったのか。自分も年寄りから同じことを言われたはずだ。そのときどんなふうに感じたか、思い出してみるといい。

俺たちの世代は、とにかく貫くことが美徳。でも、それは逆に言うと、自分の頭で考えないということでもある。そうすると、パワハラやらセクハラやら、そういう土壌も生んでしまう。

今の若い人のほうが、俺たちの若い頃よりしっかりしていると思う。

例えば、頭の切り替えが早い。仕事でも対人関係でも、「何がなんでもこうじゃないといけない」などという硬直した考え方はしない。これは、俺たち世代にはできなかったことだ。

もちろん、そこにはいいことも悪いこともあるのかもしれない。でも、それは自分たちで責任を持てばいい。

それを昔の考えで「若いモンは……」なんて言うのは、最低だと思う。

あとはとにかく、「もう年だから」を絶対に言わないこと。年寄りは、何でも年齢にかこつけて物事を否定する。それを「年寄りの大病」と俺は言いたい。

「年だから」を言い出し始めたら、もうそれが老化の始まり。年齢を言い訳にしないことが大切だ。そうすれば、いくつになっても人生は変えられると思う。

最近、「定年後をどうやって過ごせばいいですか」という質問をよくもらう。俺は妻を57歳で亡くしているから、男の老後の一人暮らしについても質問がきたりする。

そこで俺はいつも「とりあえず、前進あるのみ」とアドバイスする。やりたいことがあったら、まずそれをやってみる。人から何と言われようと、家族や他人に迷惑さえかけなければいいし、ダメなら次へ進めばいい。「もう年だから」と躊躇しているうちにお迎えがくるもしれないから。

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