長友佑都の肉体改造支えた「究極食事法」の秘密 体脂肪を燃えやすくする「ファットアダプト」

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つまり、ごく一部の例外を除くと日常生活でもスポーツでも脂質がメインのエネルギー源。脂質をいかに効率的に使うかがポイントである。

日常生活で脂質を上手に使えないと、余った分は体脂肪として蓄積される。それが日々積み重なると肥満を招いてしまう。スポーツ選手は脂質をうまく使えないとパフォーマンスが落ちる。持久力がなくなり、スタミナ切れを起こすのだ。

糖質を減らして、脂質の摂取量を増やすと、活動強度が低いときには脂質がよりエネルギー源になりやすい。ファット・アダプテーションが起こりやすいのだ。逆に糖質を摂りすぎると、活動強度が低いときでも、脂質がエネルギー源になりにくくなる。

メカニズムは次の通りだ。

脂質は、体内では脂肪細胞に中性脂肪として収められている。これがいわゆる体脂肪の正体だ。皮下に集まった脂肪細胞に貯められているのが、皮下脂肪。内臓のまわりに集まった脂肪細胞に貯められているのが、内臓脂肪である。

皮下脂肪も内臓脂肪もつねに分解されており、それが筋肉などのエネルギー源として利用されている。

食事から糖質をたくさん摂ると、この体脂肪の分解がストップする。糖質を大量に摂ると血糖値が上がり、すい臓からインスリンがどっと出てくる。インスリンは筋肉や肝臓などに血糖を取り込ませて血糖値を下げると同時に、脂肪細胞で続いている体脂肪の分解をストップさせる。そればかりか、インスリンは血糖値を下げるために、血糖を脂肪細胞に取り込ませて中性脂肪に変えてしまうのだ。

糖質の摂りすぎは体脂肪の蓄積を促進させる

ちなみに食べた油がそのまま体脂肪になることはない。

体脂肪は、脂肪細胞に中性脂肪として貯められている。中性脂肪も、食べる油と同じく3個の脂肪酸と1個のグリセロールからなる。そうなると食べた油⇒中性脂肪という直通ルートがあるように思える。でも、違うのだ。

食べた油は脂肪酸とグリセロールに分解されて吸収される。このうち、脂肪細胞に入れるのは脂肪酸だけ。中性脂肪=脂肪酸+グリセロールだから、片割れのグリセロールがないと、いつまで経っても中性脂肪は合成されない。

このグリセロールを作るのが、実は糖質=血糖。

食後に血糖値が上がるとインスリンによって血糖は中性脂肪に取り込まれた後、グリセロールに変化する。食べた油からの脂肪酸と、血糖からのグリセロールが出合い、中性脂肪が体脂肪として脂肪細胞に蓄積される。体脂肪は脂質と糖質の合作。だから、糖質の摂りすぎは体脂肪の蓄積を促進させてしまうのだ。

僕は、ファットアダプトを始めて1カ月もしないうちに、脳も筋肉も思いどおりに働くようになってきた。集中力も途切れないし、カラダのキレもスピードも増した。

次ページプロ1年目からファットアダプトを実践していたら…
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