「電子ゴミ」を美術品に変える男のガーナ奮闘記 不法投棄された物をお金に変え世界を変える
地平線まで広がるゴミの荒野では、至るところで炎が上がり、ドス黒い煙が空に向かって流れている。
発生した有害物質が大気に撒き散らされ、川や海に流れ出ていた。環境汚染をしているのは、一目瞭然だった。
しかも、そのゴミの山の中には、日本からのゴミも数多く含まれているという。われわれが使い古した家電製品は、必ずしも、正しくリサイクル処分されているわけではないのだ。
電化製品が乱雑に積み上げられ、人々であふれていた
以下は、長坂がアグボグブロシーに到着した初日の様子だ。
「問題のアグボグブロシーは、ガーナの首都アクラから数キロ歩いたところにある。1時間ほど歩くとついに、アグボグブロシーへ通じる橋に到着。川は信じられないほど汚れ、異臭がすでに鼻を刺す。続けざま甲高い金属をたたく音がアグボグブロシーの空を駆け走る。
一抹の不安はあったものの、考えても意味がない。僕は意を決して、アグボグブロシーへ通じる橋を渡った。川沿いには腐敗した何か、それに群がるハエ、やぶ。そしてそこには、数世代型落ちした家電製品が乱雑に積み上げられ、重機油の臭いと赤土とヘドロの臭いが立ち込めていた。
それでもたくさんの黒人で溢れかえっていた。そこにポツンと黄色人種の自分がいる。これだけ観光化が進んだ現代でも、この首都アクラで日本人はおろか、黄色人、白人の観光客に出会うことはなかった。
(中略)そして本格的なゴミの焼き場に到着。ゴミの荒野と言えばいいのであろうか?もしくはゴミの海原か?地平線までゴミで覆われているようだ。彼らはここで導線を燃やし、有害な煙をたて、中の金属を取り出してバイヤーに売っているという。辺りは煙に満ち、とても息苦しい。」(『Still A "BLACK"STAR 〜ガーナ、スラム街の冒険記〜』より)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら