30代半ば独身、孤独死する自分を想像してパニックに
一方のティナ・フェイもまた、前述のマイケルズに見いだされて、ライター(放送作家)兼出演者として人気を誇った『サタデー・ナイト・ライブ』出身の出世頭。元副大統領候補サラ・ペイリンにあまりにも似ている!と世界中で評判になった彼女のスケッチ(寸劇、コント)は、ユーチューブなどで動画を見た人もいるかもしれない。
『30 ROCK/サーティー・ロック』でも、要となる脚本(兼製作総指揮)を手がけて番組を成功に導き、数々の賞を受賞した。つまり本作のリズは、まさにティナ自身がモデルなのだ。
30代半ば、独身で仕事漬けのリズが、ふと孤独死する自分を思い浮かべてパニックになったり、他人の赤ちゃんを無意識に自宅に連れて帰ったり(!)してしまうというエピソードは、1970年生まれのティナ自身のリアルなのだろう(本人は2001年に結婚、現在は二児の母である)。
今年1月に開催されたゴールデン・グローブ賞の授賞式では司会を担当するなど、今、アメリカで最も旬のエンターテイナーであり、アラフォー女性の星でもあるティナ。日本では知名度はまだまだ低いが、ぜひとも覚えておきたい名前である。
要するに『30 ROCK/サーティー・ロック』は、お笑い大国ともいうべきアメリカが誇る、エンターテインメント界の最高峰の人材が集結した番組なのだ。それゆえ、しばしば業界通や業界人をニヤリとさせる、ニッチなところをついた業界ネタも頻繁に登場する。
番組にゲスト出演したがるスターも多く、ジェニファー・アニストンやウーピー・ゴールドバーグ、元副大統領アル・ゴアまで、実に多くのスターが実名、あるいはへんてこな役を演じて、とっておきのコメディアン&コメディエンヌぶりを発揮しているのも楽しい。
しかし、残念ながら「日本ではコメディは当たらない」が業界の定説となっている。そのため、山ほど作られているアメリカの30分のコメディ・シリーズは、本国では人気があってもなかなか入ってこないし、DVD化もされないケースがほとんど。運よくCSの海外ドラマ専門チャンネルで放送がスタートしても、本国では続いているのにいつのまにか途中のシーズンでフェイドアウトというケースがしばしば見られる。
『30 ROCK/サーティー・ロック』は全7シーズンで2013年に終了した。日本ではシーズン3までがDVDで視聴可能だが、放送のほうと併せてシーズン4からはストップしたままになっている。
ハイブラウぎみなジョークも多いが、一方でアメリカのエンタメ通でなくとも、ベタでわかりやすい笑いもいっぱい。前述した番組のバックグラウンドを踏まえたうえで見ると、より一層面白くなること請け合いだ。ぜひとも、大人のためのハイセンスなコメディの続きを、日本でもDVDリリース&オンエアしてほしい!
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