ワンマン上司に波風立てずにどう対処するか
このリズとライターたちが行うミーティングのシーンは、また違った面白さもある。チームのみんなでアイデアを出して、それを練っていく過程のバカバカしさといったら!
しかしだからこそ、面白い番組ができるのかもしれないとも思わせる。ワンマン上司ジャックに波風立てずにリズがどう対処するかが、ビジネスパーソン的な見どころだ。
同時に、リズの発想の転換や機転の利かせ方、大胆なピンチの切り抜け方、そして、そんな中でも自らもバカをやって仕事を楽しむ姿は、日々の仕事に追われてキリキリする心の緊張感を解きほぐし、元気をくれるに違いない。笑うって大切なことだと思う。
実はGEとNBCを揶揄ったコメディドラマ
あらすじを読んで気づいた読者も多いと思うが、本作の設定は現実に即したリアリズムに基づいている。
舞台となる放送局NBCとは、ABC、CBSと並ぶアメリカの3大ネットワークのひとつ(日本でいえば民放のイメージ)。NBCは、経営不振に陥っていた親会社が1986年にゼネラル・エレクトリック(GE)に買収され、その傘下に入った。2004年にヴィヴェンディ・ユニバーサル・エンターテインメントと合併し、NBCユニバーサルに。2009年には、GEがNBCユニバーサルの経営から撤退し、2013年3月に完全に売却したという経緯がある。
2006年に放送がスタートした『30 ROCK/サーティー・ロック』は、こうしたNBCのお家事情を揶揄った設定になっているのだ。
NBCはかつて、『ER/緊急救命室』や『フレンズ』といった大ヒットシリーズを数多く抱え、ドラマといえばNBCに敵なし!といった黄金時代が長く続いた。だが、2000年代に入ると不振が続き、ここ10年は局別の視聴率で「万年最下位」という不名誉なレッテルを張られていた。
『30 ROCK/サーティー・ロック』が登場したのは、NBC不遇時代真っただ中。テレビ界最高の栄誉であるエミー賞をはじめとする数々の賞に輝き、批評家の高い評価を得て、同局の数少ない人気番組として7年わたってNBCの面目を保つ役割を果たしたのである。
ちなみに、NBCはこの1~2年は復活の兆しがあり、特にサスペンス『ブラックリスト』(めちゃくちゃ面白い! 海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」で1月28日から独占日本初放送スタート)など最新作がヒットを飛ばしている。
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