勘違いボスのムチャぶりは機転で笑い飛ばせ GEと米TV局NBCのお家事情を揶揄したコメディ

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ワンマン上司に波風立てずにどう対処するか

Film (c) 2006/2007 Universal Studios. All Rights Reserved.

このリズとライターたちが行うミーティングのシーンは、また違った面白さもある。チームのみんなでアイデアを出して、それを練っていく過程のバカバカしさといったら!

しかしだからこそ、面白い番組ができるのかもしれないとも思わせる。ワンマン上司ジャックに波風立てずにリズがどう対処するかが、ビジネスパーソン的な見どころだ。

同時に、リズの発想の転換や機転の利かせ方、大胆なピンチの切り抜け方、そして、そんな中でも自らもバカをやって仕事を楽しむ姿は、日々の仕事に追われてキリキリする心の緊張感を解きほぐし、元気をくれるに違いない。笑うって大切なことだと思う。

実はGEとNBCを揶揄ったコメディドラマ

あらすじを読んで気づいた読者も多いと思うが、本作の設定は現実に即したリアリズムに基づいている。

舞台となる放送局NBCとは、ABC、CBSと並ぶアメリカの3大ネットワークのひとつ(日本でいえば民放のイメージ)。NBCは、経営不振に陥っていた親会社が1986年にゼネラル・エレクトリック(GE)に買収され、その傘下に入った。2004年にヴィヴェンディ・ユニバーサル・エンターテインメントと合併し、NBCユニバーサルに。2009年には、GEがNBCユニバーサルの経営から撤退し、2013年3月に完全に売却したという経緯がある。

2006年に放送がスタートした『30 ROCK/サーティー・ロック』は、こうしたNBCのお家事情を揶揄った設定になっているのだ。

NBCはかつて、『ER/緊急救命室』や『フレンズ』といった大ヒットシリーズを数多く抱え、ドラマといえばNBCに敵なし!といった黄金時代が長く続いた。だが、2000年代に入ると不振が続き、ここ10年は局別の視聴率で「万年最下位」という不名誉なレッテルを張られていた。

『30 ROCK/サーティー・ロック』が登場したのは、NBC不遇時代真っただ中。テレビ界最高の栄誉であるエミー賞をはじめとする数々の賞に輝き、批評家の高い評価を得て、同局の数少ない人気番組として7年わたってNBCの面目を保つ役割を果たしたのである。

ちなみに、NBCはこの1~2年は復活の兆しがあり、特にサスペンス『ブラックリスト』(めちゃくちゃ面白い! 海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」で1月28日から独占日本初放送スタート)など最新作がヒットを飛ばしている。

次ページ製作総指揮のローン・マイケルズはTV業界の神
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事