グーグルやアマゾンを作ったスゴい教育の中身 5分でわかる!世界7大教育法の違い

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イタリアのレッジョ・エミリア市はイタリア・ファシズムやドイツ・ナチスに最後まで抵抗したレジスタンスの街。そこで第2次世界大戦直後、「もう国に教育を任せてはいられない」と市民が独自に始めた、いわば反骨精神旺盛な教育だ。

レッジョ・エミリア教育の幼稚園では、ピアッツァ(広場)と呼ばれる大きな部屋で、まるで回遊魚のように子どもたちが自由に遊び回る。遊んでいるおもちゃを途中でほっぽってしまってもいちいちお片付けはしない。そのうちまた戻ってきて遊ぶからだ。芸術活動を多く取り入れており、自由な発想で育った子どもたちの作品には生命力があふれている。

ドルトンプラン教育とサドベリー教育、フレネ教育、イエナプラン教育はいずれも幼児教育というよりは、主に小学校以上の学校運営のしくみあるいは理念と考えたほうがいい。

ドルトンプラン教育の特徴は「アサインメント」。生徒には一人ひとり個別の課題が与えられ、それをいつまでにどれだけ終わらせるのかを約束するのだ。どう取り組むかは自由だが、約束は守らなければいけないという意味で厳しい。

受験勉強とも親和性があり、ニューヨークには「ドルトン・スクール」という幼稚園から高校までの一貫教育超進学校がある。日本でも2019年の春、東京都調布市にドルトンプランにのっとった中高一貫校が開校した。

サドベリー教育は、アメリカの「サドベリー・バレー・スクール」の理念に共感し、その理念を踏襲する学校のこと。時間割も授業もない。ずーっと休み時間のような学校だ。「先生」という概念すらない。子どもたちが何かを学び始めるようにそそのかしたり促したりということもしない。

「勝手にしなさい」を徹底すると、そのうち子どもは自ら学びだし、そのときに最大限の効果を発揮する。卒業のタイミングも自分で決める。究極的に「自主自律」の精神を鍛える学校といえる。

フレネ教育とイエナプラン教育は似ている。いわゆる「よみ・かき・そろばん」的な基礎学力については生徒がそれぞれの課題に個別にマイペースに取り組む。一方で、クラスで車座になってお互いの作文を鑑賞したり、学校のルールについて話し合ったりという対話の機会も多い。プロジェクト型の授業も多い。そのような機会を通じて「民主主義社会におけるよき市民」を育てることに重きを置いている。

世界の教育法に基づく学校が日本でも続々誕生

2019年4月には長野県佐久穂町に日本初となるイエナプラン教育の私立小学校ができた。2022年には広島県福山市に公立のイエナプラン教育の小学校ができる予定。いま注目の教育だ。ちなみに、神奈川県相模原市にはシュタイナー教育に基づく私立小中高一貫校がある。これらはいずれも文部科学省から正規の学校として認められている。

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これらの教育に共通するのは、ただ「お勉強のできる子を育てましょう」を目的とはしていない点だ。自由や平和や民主主義を希求する強いメッセージが込められている。

日本では現在、大学入試改革をはじめとする教育改革議論が盛んだが、変化を阻む「あたりまえ」の足かせは手強い。人は誰でも、自分が受けてきた教育を「あたりまえ」だと思ってしまう。だから、「学校には行くもの」「先生の命令は絶対」「なんだかんだいってテストの点数で人生が決まる」などという思いこみから離れられない。

でも、世界のユニークな教育法を知ることで、教育や学校に対する思いこみから自由になれる。個人がそれぞれに「あたりまえ」を脱ぎ捨てた集積として、社会が「あたりまえ」から解放されたとき、ようやく日本の学校も変わることができるはずだ。

おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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