定年退職前後のお金はいったいいくら必要か 高コストや複雑な金融商品の運用には注意だ
1つめの落とし穴は取り扱い開始時にあった。「その実態は仕組み債であるにもかかわらず、商品分類としてはすでに販売されている商品だった、取引所に上場している商品だったという理由から、販売に先立ち営業員に対する商品知識のインプットなどの対応が行われていなかった」としている。
「十分ではなかった」ではなく「行われていなかった」のである。営業員がリスクを理解しないままに顧客に勧めていた実態を、監視委員会は野村証券へのモニタリングで把握していたことがこの文章からうかがえる。
2つめは勧誘時。監視委員会は「『過去の値動きから、そろそろ反転するのではないか』といった市場価格の推移にのみ焦点を当てた勧誘が行われ、価格の変動性質や早期償還条項などの説明が行われていないケースが見られました。このような勧誘の実態は多くのケースで把握されていませんでした」と指摘している。
営業店は通り一遍の回答を繰り返すのみ
3つめは販売後の対応。「事前に早期償還条項がついているなどの説明を受けていない」という苦情に対し、営業店は「早期償還条項に関して説明しなければならない法的義務はない」と通り一遍の回答を繰り返すのみであったという。
この問題では、証券・金融商品あっせん相談センター(フィンマック)には多くの苦情が寄せられ、300件超の和解あっせんが行われているが、現在係争中の案件もある。
昨年の恐怖指数騒動は、営業員ですらよく理解していない商品を勧められることがあることを浮き彫りにした。自分のお金を増やすにはコストやリスクをよく理解し冷静に判断する必要がありそうだ。
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