定年退職前後のお金はいったいいくら必要か 高コストや複雑な金融商品の運用には注意だ
多くの金融機関は「人生100年時代に1億円は退職時に必要」と言うが、WPPの場合、65歳から70歳になるまでの5年分の生活費を手当てすればいいのだから、それを考えれば1億円はずいぶん大きな数字に見える。
50歳から備えるのならば、15~20年先のお金なのだから、運用をしたほうがいいだろう。将来少しでも大きな資産にするには、低コストの投資信託で運用したほうがよさそうだ。現在では信託報酬が年0.1%台の低コスト投信がたくさんある。
運用に向かない商品もある
一方で、生命保険や外債、仕組み債、ファンドラップでの運用はやめておいたほうがいいだろう。生保やファンドラップは高コストだから、外債は為替リスクの割にはリターンが少なく、仕組み債は複雑すぎて営業員すらリスクをきちんと把握しておらず危険だからだ。
とくに仕組み債では、2018年に「即死条項」が発動し多くの個人投資家が大損した仕組み債「NEXT NOTES S&P500 VIXインバースETN」が記憶に新しい投資家もいるだろう。投資家心理を表す恐怖指数VIX(ボラティリティーインデックス)と逆の動きをするように設計された上場投信だが、前日比2割以下になると早期償還される早期償還条項がついていた。昨年2月にアメリカの金利上昇を受けてVIX指数が急上昇。この仕組み債は早期償還条項に抵触し上場廃止が決定。3万円台だったこの仕組み債は紙くず同然になった。
証券取引等監視委員会は昨年9月公表の「証券モニタリング概要・事例集」(全74ページ)の中で、この仕組み債の問題点や顛末について2ページを割いて詳報している。監視委員会は3つの落とし穴があったと指摘している。
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