フランスで100万部「女の生き辛さ」わかる小説 『三つ編み』が描いた女性の葛藤と強さ
残念なことに、日本では女性差別的な社会構造が厳然として残っている。多くの女性が生きづらい環境に置かれているため、出生率は低迷を続け、人口減少社会に突入している。出世は難しく、出産後に同じ待遇で働き続けることも困難だ。また、娘に性暴力を働く男性が裁判で無罪となる。日本のジェンダーギャップ指数は、インドより低い110位である。
夫を「主人」と呼ぶ差別的な用語を使う男女も多く、選択的夫婦別姓制度も成立しないため女性の9割以上が結婚後に夫の姓を選択する。差別的な待遇が当たり前になりすぎていて、女性の多くが現状を受け入れてしまっているのだ。
日本の女性には「闘い続けてほしい」
こうした環境を受け入れているとも言える日本人女性が勇気を得るにはどうしたらいいのか。アドバイスを求めると、「とても強くならないといけない」との答えが返ってきた。「私は女性のほうが男性より強いと思います。女性は娘のために、自分自身のために、将来の女性のために、闘い続けなければなりません。私は日本の女性に『闘い続けて。そしてよい男性を見つけて』と言いたいです。物惜しみしない男性は私たちを助け、そして一緒に闘ってくれます」。
一方で、世界には現状を変えたくない女性がいることも認める。「もしあなたが娘だったら、母親の対応は2通りあると思います。『私と同じ苦しみを与えたくない』と考えるか、『私は苦しんだ。なぜ彼女もそうならないの?』と思うか。2つはまるで異なる哲学に基づいています。ジュリアの物語では、彼女の母や姉たちがとても保守的で、現状を変えたがらない女性に設定しました」。
次作は、今回の調査の過程で知った児童婚を題材にする予定だ。「世界中で、何百万人もの少女たちが、家族から結婚するよう迫られています。そういう実態が現代もあることに、ショックを受けました。ですから、次作はその問題について書くつもりです」。
ハリウッド発の#Me Too運動が世界に広がったように、今、世界はフェミズム・ムーブメントの渦中にある。日本でも、たくさんのセクハラ問題が明らかになった。医大の不正入試問題をきっかけに、進学差別が報道で追及されるなど、メディアが積極的に報道するようになった。問題を深刻に受け止める男性も多い。追い風が吹いている今だからこそ、男女が手を取り合って、立ち上がるべきなのではないだろうか。
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