「森を破壊しない」ハンバーガーはなぜ必要か 持続可能な食材調達を求められる外食産業
日頃ハンバーガーを食べることが、森林破壊につながっている――。それを知ったら、皆さんはどう思うだろうか。
例えばハンバーガーに欠かせない牛肉。牛を飼育する牧場開発のために、毎年世界で多くの森林が切り開かれている。ほかにも、バンズ(パン)に使われるパーム油の生産では、熱帯林の伐採が大きな問題となっているし、ハンバーガーを包む紙の多くは、木から作られたバージンパルプを原料としている。
日本では1日に450万食ものハンバーガーが消費されるといわれる。それだけの量のハンバーガーを作るために、食材の調達が無秩序に行われれば、森林への影響は計り知れない。
「持続可能な」原料調達を推進
そんな中、一部のハンバーガーチェーンで持続可能な食材調達の取り組みが始まっている。動き出したのが、日本マクドナルドだ。ハンバーガーの包装紙および紙製容器のほぼ100%について、2018年6月時点で森林管理協議会(FSC)が認証した製品に切り替えた。認証を受けた紙は、適切に管理されている森林から切り出された木材を原料としている。
日本マクドナルドは店舗で使用しているパーム油についても、2015年から「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」が認証した製品への切り替えを推進。フライオイルについては2018年末時点でそのすべてがRSPO認証品になった。
また、同社では約15万人に上る店舗のアルバイト社員向けのマニュアルを改定し、持続可能な食材調達を推進する目的などを記した。4月から順次配布を進めており、店舗での研修を通じて取り組みの意義を社内で共有する。
「現在、フィレオフィッシュに使用するスケソウダラの使用についても、年内取得をメドに持続可能な水産物に関する認証取得手続きを進めている。コーヒーについても持続可能な調達に関する認証取得を年内にも実現したい」(岩井正人・日本マクドナルドCSR部マネージャー)。
こうした取り組みは、国際環境NGOのWWF(世界自然保護基金)ジャパンによる外食チェーンの取り組みに関する評価でも高得点になって表れている。
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