長期投資でも実はアクティブ投信が有利な理由 インデックス投信を過信すると痛い目に遭う

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例えば、1万円が5000円に値下がりしたときの下落率は50%ですが、5000円まで値下がりしたものを1万円まで戻そうとしたら、100%の上昇率が必要になります。

ところが本来、インデックスファンドでは50%下落するはずだったのが、あるアクティブファンドはリスクマネジメントの妙によって30%しか下がらなかったとしましょう。これを元の価格である1万円まで戻すなら、上昇率は42.9%で済むのです。これが積み重なっていけば、長期的にアクティブファンドの運用成績が、インデックスファンドのそれを上回ることも考えられます。

リスクマネジメントがされているファンドとは?

ポートフォリオの大半はグローバルに分散投資するインデックスファンドであるけれど、日本株アクティブファンドを一部に組み入れたいと考えている人もいると思います。

ではどういうアクティブファンドを選べばいいのかについては、さまざまなスクリーニング(ふるい分け)条件がありますが、こと運用成績については、最低でも過去5年のリターンをチェックして、下降トレンドのときに大きく下げないようなファンドを見つけるようにしてください。

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投資信託の運用成績というと、どうしても一定期間中に高いリターンを上げているかどうかという点ばかりに目が行きがちですが、大事なのは下降トレンドのときに、いかに大きく下げずに踏ん張れているかということです。その点では「騰落率」という結果よりも、過去の基準価額の推移を見るようにしましょう。

また、最低でも過去5年の運用成績はチェックしたいので、新規設定ファンドは最初から対象外です。銀行の窓口などに行くと、その時々の新規設定ファンドをお勧めされますが、アクティブファンドで過去の運用成績を持たないものを選ぶのは、非常にリスキーであることを最後に付け加えておきます。

鈴木 雅光 JOYnt 代表、金融ジャーナリスト

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すずき・まさみつ / Masamitsu Suzuki

1989年岡三証券入社後、公社債新聞社に転じ、投信業界を中心に取材。2004年独立。出版プロデュースやコンテンツ制作に関わる。著書に『投資信託の不都合な真実』、『「金利」がわかると経済の動きが読めてくる!』等。

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