踊り子の"兄"、JR西に残る「117系」の過去と未来

ユーモラスな顔、かつては「新快速」の代名詞

117系は、デビューとともに大好評で迎えられた。私鉄王国・関西で劣勢だった国鉄の新快速は、117系の登場で息を吹き返し、今に続く大躍進の礎となっている。

1982(昭和57)年には名古屋地区にも投入され、サービス向上に寄与した(名古屋地区の車両は2013年までに全廃)。185系は117系をベースに設計されたものだが、117系が特別料金不要だったのに対し、185系は特急運用を念頭に入れて製造されたため、「東京では特急料金のかかる車両に、関西では運賃のみで乗れる(実際は、東京でも普通列車に使用されていたが……)」というのが関西の鉄道ファンの“ささやかな自慢”だった。

京阪神の国鉄を代表する存在となった、117系の新快速。JR化後もその人気は増え続け、一部列車は6両編成を2本つないだ12両編成で運用されるようにもなった。そこでJR西日本では、117系に変わる新快速用車両として、221系を開発。1989(平成元)年に運用を開始すると、しだいに117系は新快速から撤退し、他線区へと転用されることになった。

和歌山地区から引退した117系

現在、117系を定期列車で運用しているのは、京都総合運転所と岡山電車区の2か所のみ。前者は湖西線や草津線など、後者は山陽本線などで活躍を続ける。とくに、山陽本線では岡山―福山間の快速「サンライナー」に使用されており、今なおその俊足を堪能することができる。

角を丸めた流線形で、どことなく愛嬌のある顔が特徴(筆者撮影)

その一方で、福知山線や山陽本線下関地区からはすでに撤退。そして2019(平成31)年春のダイヤ改正で、和歌山エリアでの定期運用も終了した。同エリアの117系は、吹田総合車両所日根野支所新在家派出所(以下「新在家派出所」)に所属していたが、運用終了を受けて順次、吹田総合車両所へ回送されている。

取材で新在家派出所を訪れた日は、ちょうど翌日に117系の回送が行われるところだった。穏やかな日の光を浴びて、新在家派出所での最後の日を過ごす117系。その車体は、まるで今から営業運転に出るかのように、美しく整備されていた。「最後までお疲れ様」という、検修スタッフの愛情を感じる。

デビュー時にはクリーム色に茶帯を巻いていたが、現在は和歌山エリアの地域色である青緑色一色となり、かえって“ほっぺた”部分の丸みが目立っているように思える。ライト部分の装飾帯や、中央に設けられた逆台形の種別表示幕に、デビュー当時の面影を残している。

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