117系は、関西地区の新快速で運用されていた153系を置き換えるために登場した。京阪神の鉄道は国鉄(当時)のほかに阪急や京阪などが競合している。当時、京阪は「テレビカー」初代3000系が、阪急は6300系が活躍。いずれも2扉転換クロスシートを備えていたのに対し、国鉄153系は背もたれが垂直に固定されたボックスシート。サービス面で分が悪かった。
そこで、国鉄も転換クロスシート車両を導入することになり、生まれたのが117系である。
顔つきはユーモラス
非貫通とした前面は、運転士の視界を確保し、また踏切事故から守るために、高床式とされた。角を丸めた流線形が、ほっぺたを膨らませたお多福のようで、なかなかユーモラスな顔つきだ。
ラッシュにも対応できるようにデッキを省略し、車端から少し中央に寄せて両開き扉を2か所に設置している。前述のとおり、座席は転換クロス式。白色の枕カバーが掛けられ、モケットや妻面の壁はこげ茶色の木目調として、落ち着いた雰囲気に仕上げられている。
JR西日本117系
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新在家派出所の117系。翌日に回送を控えていた
(筆者撮影)
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すっと通った鼻筋と、ほっぺたを膨らませたような顔が特徴
(筆者撮影)
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中央部には逆台形の種別表示幕を装備。これも独特の形状だ
(筆者撮影)
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側面は2扉で、開閉可能な客窓が2連で並ぶ
(筆者撮影)
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中央部などにはオリジナルの転換クロスシートが残る
(筆者撮影)
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座席の枕カバーや床面のモーター点検口は登場時のまま
(筆者撮影)
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片側の先頭車にはトイレも装備。妻面の木目壁が美しい
(筆者撮影)
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妻面にあるメーカーのプレート。約40年間活躍した
(筆者撮影)
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禁煙を示す表示はレトロな雰囲気が漂う
(筆者撮影)
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乗務員室と客室を隔てる窓ガラスも昔のままだ
(筆者撮影)
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運転席部分は高床式で、視界確保と安全性の両立を図った
(筆者撮影)
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アナログ式メーターが並ぶ運転台。昔ながらの雰囲気だ
(筆者撮影)
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ブレーキハンドルは木製。金属部分が鈍い輝きを放つ
(筆者撮影)
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広々として乗務員も使いやすかったそうだ
(筆者撮影)
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