数学が苦手な人が陥る「平均計算」の落とし穴 暗記だけで済ます算数では理解は進まない
ある答え 実際の土地の面積は7000平方メートル
問題3の解説をしたい。ある答えも間違っているが、それ以前の式も間違っている。縮尺が□分の1という地図は、実際の距離を□分の1にしているのであって、面積を□分の1にしているのではない。10000分の1の地図の場合、地図上における、たてや横の長さに対して10000をかける必要があるのだ。したがって実際の土地は、たてが2000m、横が3500mの長方形である。そこで実際の面積は、2000×3500=7000000平方メートルと計算して、700万平方メートルになる。
問題4の解説をしたい。ある解答では、隣同士の整数の和が奇数になることしか説明していないのである。そこでこの問題では、偶数を2m、奇数を2n+1として、次式のように、それらの和をとって証明しなくてはならない。
大学生の論述力に危険信号
実は、2011年に日本数学会は日本の大学生約6000人に対し、「大学生数学基本調査」を実施した。問題4はその調査で用いられたもので、結果は2012年2月に発表された。
中学2年レベルの問題であるが、正答または準正答とされたのは、入試で記述式テストを実施している国公立の最難関大クラスでは76.9%だったものの、入試では主にマークシート形式問題の私立大学の最難関大クラスでは27.8%だった。
調査における誤答では、上で示した隣同士の整数の和として考えるものが目立ったのである。大学生の論述力に、危険信号が点滅していると言える問題である。
同調査とは無関係の余談であるが、「逆は必ずしも真ならず」ということわざを知っている大学生が、この10年間で急減した実感がある。
実例を挙げれば、「正方形ならば長方形である」という命題は真であるが、「長方形ならば正方形である」という、逆(の命題)は真ではない。
学校教育での国語や数学の授業における論理的な文の扱いが、心配になっている今日この頃である。
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