アマゾンの超速配送を支える“逆転の発想” ロボットで2~4倍の処理が可能に

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マウンツは、マサチューセッツ工科大学で機械エンジニアリングを専攻し、ハーバード大学ビジネススクールでMBAを取得。モトローラでキャリアをスタートさせた後に、アップルに3年間在籍し、製品マネジャーとして、ファイアーワイアーや3Dグラフィックス開発にかかわった。

配送センターの技術に触れたのは、ウェブバンというスタートアップにかかわったときだ。ウェブバンは今でもよく語り草になるドットコム・バブル時代の大失敗例。客がオンラインで注文した生鮮食料品を、トラックで届けるというサービスサイトだった。大掛かりな機械を装備した倉庫を建設したものの、売り上げとこの倉庫のコストとの折り合いがつかず、倒産。アイデアは悪くなかったのだが、実現可能性が低かったというビジネスの一例だ。

その後、もっと効率的に配送センターを運営できないものか。ずっと考え続けてきたマウンツの頭にひらめいたのが、一度導入してしまえばせっせと仕事するばかりのロボットを使い、配送センターの運営方法を逆転することだったのだ。

マウンツは、「配送センターを並行処理のコンピュータのように考えている」と言う。配送センターの内部では、中央にあるのは棚だけで、発送作業員は周りに配置される。大部分の床面積の上は、多数のロボットが忙しく行き来する場所だ。こうして何工程ものプロセスが同時進行する。そのおかげで、1人の作業員が休憩を取ったからと言って、ほかに遅れを及ぼすわけではない。

発想の転換によって、配送センターという古くさい場所をデジタル時代にフィットさせたマウンツの功績は、かなり大きいのだ。

(撮影:梅谷秀司)
 

瀧口 範子 ジャーナリスト

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たきぐち のりこ / Noriko Takiguchi

フリーランスの編集者・ジャーナリスト。シリコンバレー在住。テクノロジー、ビジネス、政治、文化、社会一般に関する記事を新聞、雑誌に幅広く寄稿する。著書に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか? 世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』『行動主義:レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家:伊東豊雄・観察記』、訳書に『ソフトウェアの達人たち:認知科学からのアプローチ』(テリー・ウィノグラード編著)、『独裁体制から民主主義へ:権力に対抗するための教科書』(ジーン・シャープ著)などがある。

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