アマゾンが狙う「クラウド世界王者」の座 スタートアップも、大企業も、公共セクターも顧客に

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本連載は、GAFAに関するトピックを毎週ひとつないし複数採り上げながら、米国・シリコンバレーを中心とするIT事情を定点観測的にお伝えしていく。今回はアマゾンをとり上げる。米国時間2013年11月13日からラスベガスで開催されたアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のイベント「Re:Invent」。ここで発表された内容を中心に、アマゾンがエンタープライズ市場でどんなポジションを狙っているのか、考えていこう。
アマゾン・ウェブ・サービスが7周年であると話すアンディ・ジャシー氏

スタートアップからの絶大な支持

アマゾンといえば、日本でもおなじみのオンライン書店だ。現在は書店だけでなく、電化製品、食品、文房具、衣類など、日常使うものを数多く取りそろえるデパートのような存在となっている。そして、これは米国の人に話しても驚かれるのだが、オーダーがその日に届く地域もあり、独自進化を遂げている。

しかし、アマゾンにはこれとはまったく別の進化を続けている部門がある。それが、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)だ。AWSはクラウドサービスに属するが、一言でいえば従量課金のサーバー環境だ。AWSは今年で7年目となるが、このサービスの登場によって、シリコンバレーのスタートアップの方法論がまったく変わってしまった。

インターネット上でサービスを行ったり、社内で管理するシステムを作るときには、サーバーが必要になる。このサーバーを自社で買う場合、まずここでコストがかかるうえ、24時間365日動き続けるように保守管理をする必要がある。しかも、もしサービスが成長してきた際には、サーバーを増強していかなければならないが、急激な成長をした場合、そのスピードが追いつかず、サービスがダウンしてしまうことになる。

AWSは、上に述べた不安を一気に解消してくれるサービスとして、スタートアップから絶大な支持を集めた。インスタグラム、ドロップボックス、フォースクエア、タンブラー、ピンタレスト、エアビーアンドビーなどの急成長した企業は、AWSなしではありえなかったといってもいいだろう。

名だたるスタートアップがAWSのユーザーとなっている

AWSで重視しているポイントは、以下の5つだ。

1. Performance:処理能力

2. Security:セキュリティ

3. Reliability:信頼性・安定性

4. Cost:コストのメリット

5. Scale:スケーラビリティ

当初は特にコストとスケーラビリティが支持されてきたが、AWSは今回の基調講演で、処理能力とセキュリティを強調し、より多くの企業ユーザーに信頼されるサービスであることをアピールしている。同イベントは、新しい機能や知識を学んで持ち帰ってもらうことで、自社や顧客に行動を起こしてもらうことをゴールにしているという。

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