過去60年は“不幸な成功” 自由闊達と自分勝手は違う--中鉢良治・ソニー社長

--投資と利益をバランスさせる。普通の企業がやっていることを一からやり直すように見えます。

その言葉には同意しかねる。私が言いたいのはソニーのDNA(遺伝子)というものがあるとすれば、変えるべきDNAもあるのではないかということです。ソニーらしさって何ですかと聞くと、たとえばウォークマンだと言う。ウォークマンの何がソニーらしいのかと聞くと、つまりはヒットした商品なのです。また、社長がソニーらしくないと言うからなぜかと聞くと、利益を出さないからだと言う。利益を出さなくなると途端にソニーらしくない、と。ソニーらしさとは勝ち続けること、ヒットし続けることなのです。それができないとソニー神話の崩壊、ソニーらしさを失った、焦る社長とか言われるわけです。

--利益体質になるには液晶テレビの黒字化が不可欠ですが、その核心部品の液晶パネルで、シャープとの生産合弁が最終調印に至らないままです。ソニーの出資比率予定(34%)を引き下げる可能性は?

シャープとはパネルの価格など調達条件を詰めているところです。出資比率を引き下げる交渉というのは、仮定の話でもありません。

--就任当時から、社長を退くときのイメージがあるとおっしゃっています。ソニーをどんな企業にして、次の経営者にバトンを渡しますか。

アナログからデジタルへ、高性能・高付加価値の製品からもっと値頃感のある製品へ。先進国型市場から新興国にも目を向けなくてはいけない、そういう変化の状況にあります。今まで60年のサクセスフルな時代があったとすると、今はちょうど結節点に来ていると思う。新しい側にきちっと受け渡しするために、次のマネジメントにインフラを整えてあげなければならない。ここ4年で、顧問制度やEVA(経済付加価値、出井伸之前会長が導入した経営指標)を廃止するなどしてきましたが、まだまだ改善しなければならないことがある。企業の体質を社員とともに変革して、次の世代に渡していくことが使命だと思います。

--業績面ではいつソニーのエレクトロニクス事業は復活しますか。来10年3月期も赤字が続くのでは。

それは許されない。こういう環境でもソニーが最初に復活して、日本の製造業に希望を与える。60年前、戦後の混乱の中で創業者の井深大さんや盛田昭夫さんが世界を目指してやってきたのと同じように、新たな60年を迎える今、世界の頂点を改めて目指します。

ちゅうばち・りょうじ
1947年宮城県生まれ。77年東北大学大学院工学研究科博士課程修了、ソニー入社。テープや光ディスクなど記録メディアの事業部門を歩む。2005年4月よりエレクトロニクスCEO、同6月社長就任。

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