これからの日本人には、もっと多様性が必要
結局、内向き思考の考え方は、突き詰めると「お察し文化」を蔓延させることになりかねない。確かに仲間うちで同じタイプが集まると、何事にも反対意見が出てこないのでトラブルがなく、何事もうまく進むように見えるから、安心感がある。だが、その代償、といってはなんだが、「井の中の蛙」が異質を排除すると、いいことはあまりないものだ。今までは「鎖国」に近い政策を続けていてもよかったかもしれないが、もう限界である。「島国根性」から抜け出さないと、国際ビジネス(商売)の現場では、視野が狭くなり、成功はおぼつかない。
今や時代のスピードが等比級数的に速くなっている。旧態依然とした決定を繰り返していくと、知らず知らずにガラパゴス状態に陥ってしまうのである。
日本人のビジネスマンに必要なのは、多様性のある見方や考え方を受け入れ、「蛸壺状態」にならないようにすることだ。だが、特に大手企業の中には、自分が責任を取るのは嫌だから、初めからリスクを回避するような逃げ口上を用意する風土がまだ残っている。新たな方針や戦略を作成するときは、衆議を尽くすことになる。
こうなると、ユニークな意見よりも、常識的な意見に反対が出にくくなり、決定権限者の面子を潰さないような妥協案が出てくることも多い。そして全員が責任を取らなくてよい陳腐な戦略が出てくるから、うまく行っても利益は薄く、逆に下手をしても、責任をとる人は出ないような意思決定がなされがちだ。
内側から、妥協を繰り返しているようでは、まず勝てない。異質を排除せず、安易な妥協文化とは決別する。それが中国人云々よりも、日本人ビジネスマンが、交渉に強くなる第一歩ではないか。そして、国際社会でサバイバルすることを肝に銘じて、中国人に負けないように、したたかに日本人魂を発揮したいものだ。
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