「不妊治療と仕事」両立に苦悩した女性の本音 予測できない休み、両立する人の厳しい現実

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
拡大
縮小

「薬の副作用で体調は絶不調。そのうえ、毎月生理がきたら採血に行き、今月は採卵できそうかどうかの判定がある。それが1次試験。それに受かっても、採卵前にちゃんと卵が育っているかの合否があり、次に卵子を見て採卵できるか否か、そしていざ採卵してもちゃんと培養できてお腹に戻せるかどうか、戻したとしてもちゃんと着床するかどうか。

2回に1度は1次試験でダメだったし、最後までたどりつくのは長い道のり。夫は出張が多いので、心身ともにつらくても、1人で耐えるしかなかった。家から近い病院だったので通えるかと思ったが、予想以上に通院が多く、休みがかさみすぎた」

貯金が尽きるか、40歳になるまでやると決めていたが、精神的にも疲れ、治療を一度断念。しかし、数カ月後、やはり諦めきれず、今度は会社の近所のクリニックで再度治療を始める。

2人目の夢は途絶えた

「私は卵ができにくいうえ、生理不順なので、スケジュールが読みにくい。そのため、毎月生理がきたら2〜3日後には必ず病院で行う採血も生理がこないと日程が組めない。今度のクリニックは職場から近かったので、出社前や昼休みに行けるのが本当によかった」

始業は9時からだったので、朝8時に採血に行き、「結果は昼休みに聞きにきます」とそのまま出社。お昼休みに戻って結果を聞き、ランチを食べずにそのままデスクに戻った。治療方針も「1個でも2個でもいい卵が採れさえすればいい」と排卵誘発剤を使わない方針だったため、体への負担が軽減された。そして、4度目の体外受精で無事出産にたどり着く。

「本当は2人子どもが欲しかったんです。でも、私は体外受精でしか妊娠できないことがわかっていたから、復帰したらもう1度治療に挑戦するつもりでした」

そんな真中さんが育休から復帰するとき、思いもよらない出来事が起こった。出産前は本社勤務だったが、本社には時短勤務者を受け入れてくれる部署がなく、数駅離れた駅の営業所に異動になったのだ。

「異動が決まって、最初にしたのは勤務先の近所の不妊治療クリニック探し。2つのクリニックを経験して、職場から近くないと通院は不可能だということを痛感していた。でも新しい職場の近所にはクリニックがなくて。産休復帰とともに2人目の夢は途絶えました」

個人の体の状態や、仕事の内容、職場の環境など、置かれた環境によって、不妊治療と仕事の両立の仕方はまったく違う。厚生労働省でも企業に向けて、仕事と不妊治療の両立支援の取り組みを始めている。しかし、浸透までにはまだまだ乗り越えなければならない障壁は多そうだ。

本連載「不妊治療のリアル」では不妊治療の体験について、お話しいただける方を募集しております。取材に伺い、詳しくお聞きします。こちらのフォームにご記入ください。
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT