「不妊治療と仕事」両立に苦悩した女性の本音 予測できない休み、両立する人の厳しい現実

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「薬の副作用で体調は絶不調。そのうえ、毎月生理がきたら採血に行き、今月は採卵できそうかどうかの判定がある。それが1次試験。それに受かっても、採卵前にちゃんと卵が育っているかの合否があり、次に卵子を見て採卵できるか否か、そしていざ採卵してもちゃんと培養できてお腹に戻せるかどうか、戻したとしてもちゃんと着床するかどうか。

2回に1度は1次試験でダメだったし、最後までたどりつくのは長い道のり。夫は出張が多いので、心身ともにつらくても、1人で耐えるしかなかった。家から近い病院だったので通えるかと思ったが、予想以上に通院が多く、休みがかさみすぎた」

貯金が尽きるか、40歳になるまでやると決めていたが、精神的にも疲れ、治療を一度断念。しかし、数カ月後、やはり諦めきれず、今度は会社の近所のクリニックで再度治療を始める。

2人目の夢は途絶えた

「私は卵ができにくいうえ、生理不順なので、スケジュールが読みにくい。そのため、毎月生理がきたら2〜3日後には必ず病院で行う採血も生理がこないと日程が組めない。今度のクリニックは職場から近かったので、出社前や昼休みに行けるのが本当によかった」

始業は9時からだったので、朝8時に採血に行き、「結果は昼休みに聞きにきます」とそのまま出社。お昼休みに戻って結果を聞き、ランチを食べずにそのままデスクに戻った。治療方針も「1個でも2個でもいい卵が採れさえすればいい」と排卵誘発剤を使わない方針だったため、体への負担が軽減された。そして、4度目の体外受精で無事出産にたどり着く。

「本当は2人子どもが欲しかったんです。でも、私は体外受精でしか妊娠できないことがわかっていたから、復帰したらもう1度治療に挑戦するつもりでした」

そんな真中さんが育休から復帰するとき、思いもよらない出来事が起こった。出産前は本社勤務だったが、本社には時短勤務者を受け入れてくれる部署がなく、数駅離れた駅の営業所に異動になったのだ。

「異動が決まって、最初にしたのは勤務先の近所の不妊治療クリニック探し。2つのクリニックを経験して、職場から近くないと通院は不可能だということを痛感していた。でも新しい職場の近所にはクリニックがなくて。産休復帰とともに2人目の夢は途絶えました」

個人の体の状態や、仕事の内容、職場の環境など、置かれた環境によって、不妊治療と仕事の両立の仕方はまったく違う。厚生労働省でも企業に向けて、仕事と不妊治療の両立支援の取り組みを始めている。しかし、浸透までにはまだまだ乗り越えなければならない障壁は多そうだ。

本連載「不妊治療のリアル」では不妊治療の体験について、お話しいただける方を募集しております。取材に伺い、詳しくお聞きします。こちらのフォームにご記入ください。
吉田 理栄子 ライター/エディター

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よしだ りえこ / Rieko Yoshida

1975年生まれ。徳島県出身。早稲田大学第一文学部卒業後、旅行系出版社などを経て、情報誌編集長就任。産後半年で復職するも、ワークライフバランスに悩み、1年半の試行錯誤の末、2015年秋からフリーランスに転身。一般社団法人美人化計画理事。女性の健康、生き方、働き方などを中心に執筆中。

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