5Gで動画にだけ着目する人が予想できてない姿 村田製作所のキーマンが語るポストスマホ論

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例えば、外出先や仕事場、通勤時の通り道、自宅など一般的な生活空間においてはいつでもクラウドに接続できる端末が設置されていて、個々人が必要なデータをそれぞれの場所にある端末で自由に見ることができるようになる。そうなれば、通信機器を持ち運ぶ手間は省ける。通信機器同士のシェアリングエコノミーが実現する。

4Gでは電話が1つの「アプリ」になった

現在はどうしてもスマホの延長線上で5Gのアプリケーションを発想しがちだが、3Gから4Gへと規格が変わるときに何か変わったかを思い出してほしい。私はマニアだから、自宅にポケベルやガラケーを保管しているが、それを眺めていたときに3Gから4Gでいちばん変わったのは電話が1つのアプリになったことだと思った。

3Gまではあくまで電話機で、メールの送受信や「iモード」などが使えるようになったという感覚だったが、4Gでは電話がさまざまなアプリと変わらない1つのアプリと化した。おそらくスマホをかつての携帯電話と同じ電話機として使用しているという認識はなく、電話の概念自体が通信規格の変化とともに変わった。だから4Gから5Gへの変化でも同様に何かしらの概念の変化が起きるだろう。

5G時代のポイントに「動画」が例として挙がることがあるが、今の4Gでも若干通信速度が遅いだけでYouTubeや映画などを見るのに困りはしない。5Gへの変化は現時点で例示されている以上に社会に大きなインパクトをもたらすだろう。実際にビジネスモデルや社会が5Gによってどのように変化するかは若い人たちにより積極的に考えてもらいたい。きっとあふれる想像のなかに今後現実となるものもあるだろう。

村田製作所のような電子部品メーカーとしてはどんな通信機器が求められるようになっても、対応できる部品を技術開発していく。必要な部品をしっかり供給し、部品に求められる性能を達成していくインフラ作りをしっかりやっていきたい。

週刊東洋経済』5月25日号(5月20日発売)の特集は「5G革命」です。
劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。台湾台北市生まれの客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説の研究者でもある。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、アニメが好き。

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