5Gで動画にだけ着目する人が予想できてない姿 村田製作所のキーマンが語るポストスマホ論

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中島規巨(なかじま のりお)/1961年生まれ。1985年村田製作所入社。2006年通信モジュール商品事業部事業部長。2010年に執行役員。2012年にモジュール事業本部本部長。同社取締役を経て、2017年から同社代表取締役および専務執行役員、モジュール事業本部本部長(記者撮影)

――5G需要はどれくらい先まで続きますか?

スマホの需要がある程度見込める、5年くらい先までは大丈夫だ。問題はその先だ。

LCP(液晶ポリマー)フィルムを用いた樹脂シートおよび銅箔シートを独自の積層技術を使って何層にも積み重ねた樹脂多層基板「メトロサーク」。5Gでの需要急増が期待されている(写真:村田製作所提供)

5Gのメリットは通信速度が速くて、映画が数秒でダウンロードできることやネットによる動画中継がテレビで流れるのと同時になるなどわかりやすい具体例が多い。ただ、4Gと5Gの違いで根本的な大きな違いは、レイテンシー(遅延)が0秒に近く、ほぼ遅延がないということだ。

現在はスマホやタブレットを購入するときに64GBや256GBなどメモリー量を気にして選んでいる人は多いだろう。でも、5Gになれば通信によるデータのやりとりで遅延が生じないので、クラウドに大量のデータを保存してやりとりしても問題ない。メモリーにデータを保存する必要はなくなり、スマホのようなメモリーつきの通信機器はいらなくなるかもしれない。

――村田製作所のビジネスに与える影響は。

5Gが浸透した時代になれば、特定の用途に合わせたウエアラブル端末が普及するだろう。5Gはつねにネットワークやクラウドにつながっている状態となるので、医療分野でのバイタルチェックや歩行者と自動車間を結んで交通事故の防止に貢献するウエアラブルデバイスが必要になる。

一方で、いずれはスマホやウエアラブル端末も必要なくなる場面があるだろう。

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