中国にしてみると、米国債が暴落すれば、外貨準備の目減りを覚悟しつつ、なおかつ元の価値減少まで受け入れねばならない。「一帯一路」で世界覇権を狙っている中国には受け入れられる話ではありません。
さらに重要なポイントがあります。
前出の橋本元首相があの発言をした1997年などは、日本が売り手に回ってしまうとそれを買い支える国はもうありませんでした。世界中に買い支えられるのは日本しかいないなかで日本が売ったらどうなるのか、という話ですね。
中国が米国債を売る可能性がほぼあり得ない理由
しかし、今なら中国が仮に本当に売却しても(あり得ない話ですが)その場合は、日本が買い手に回ります。さらに言うと今やFRB(米連邦準備制度理事会)も、バランスシート上の制約は当時と違って一切なく、その気になれば2008年のリーマンショックの時と同じような規模で国債を買い支えに回ることが十分可能です。ジェローム・パウエル議長の一存でできることですし、トランプ大統領も絶対反対はしませんよね。
つまり、相当な「イフ」が重ならない限り、中国が米国債の売り手に回るということはあり得ないのです。本当にあるとすると・・・脅しではなく、中国が本当に外貨の資金繰りに困って売らざるを得なくなる、というようなケースでしょう。しかしこの場合はやはり売却せずに日銀などを相手にレポ取引をすればいいだけのことなので、米国債暴落ということにはなりません。
ですから、中国が反撃して米国債を売却する・・・というシナリオは一見ありそうですが、現実的には確率ゼロでしょう。中国が本当に外貨の資金繰りに困ったとしても売却する必要はないし、売ってしまえば自分が一番困るということです。その場合は日本がしっかり補完機能を果たします。
こうしてみると日本の政治的な安定感というのは世界の金融安定に関しては非常に貢献しており、個人的にはあまり良いことだとは思わないんですが、安倍首相の長期政権というのはかなり価値がありますね。
少なくともトランプ大統領のとの距離感が近いという意味ではこれまでの日米首脳関係では出色で、何があっても対応可、という意味では「ついに世界経済崩壊!!」などと煽って食っているエコノミストは、いずれは食いっぱぐれますね(笑)(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
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