「収入合算」で家を買うときの見落としポイント 住宅ローンの収入合算「連帯債務型」とは何か

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もちろん、フラット35でも考え方は同じなのですが、「デュエット(夫婦連生団信)」を利用すると、妻にも団体信用生命保険が付けられる点は覚えておきたいポイントです。

そのうえ、ペアローンの保障が得られるのかと言えば、実はもっとパワフルです。フラット35で「デュエット」にすると、夫婦分(Aさん夫婦の例で言えば4000万円分)が免除になります。

デュエット利用時の上乗せ金利は年0.18%なので、Aさん夫婦の例では毎月返済額にして3500円ほどのアップになりますが、ローン返済を続けるうえでの安心感は高まりますね。

夫婦連生団信を利用できる金融機関は、住宅金融支援機構の「デュエット」のほかは、三井住友銀行やろうきん、楽天銀行などがあります。各金融機関で上乗せ金利や仕組みが異なるため、気になる方は事前に調べてみてください。

夫婦で組む際は必ず保険を見直そう

以上、3回の連載で、共働き夫婦の住宅ローンの組み方を見てきました。マネー面からの比較でいえば、住宅ローン控除を2人とも受けたいなら「ペアローン」か「収入合算[連帯債務型]」。夫婦ともに団体信用生命保険に入りたいなら、「ペアローン」か「収入合算[連帯債務型]」で、とくに保障のパワフルさを求めるなら「収入合算[連帯債務型]」ということになります。

ただ、「収入合算[連帯保証型]」でも、例えば保険金額4000万円の生命保険(定期保険や収入保障保険)を妻が自前で入って備えれば同じ効果が得られます。収入保障保険なら年齢にもよりますが月払保険料3000円前後で入れる保険会社もあるので、何がなんでも団信で備えようとする必要はありません。

大切なのは、いざというときの保障をしっかり備えておくことです。ペアローンを借りて夫婦ともそれぞれの持ち分について団体信用生命保険を得られる場合でも、ローン残債のすべてが完済できるように生命保険を上乗せして入っておくことは一策と考えます。

そして、何より、夫婦で借りるとお互いが全額の返済義務を負うということを、十分に認識しておくことが大切です。どちらかが亡くなるときに備える視点はもちろんのこと、働けなくなったときに備える保険の手当ても視野に入れておくと安心です。

収入減になったときに困らないように余裕を見た借入額にしたり、健康に気を使い合ったり、離婚することのないように互いをいたわり合う気持ちを持ち、仕事を辞めず最後まで二人三脚でローン返済する覚悟を持って臨んでほしいと思います。

「めちゃくちゃハードル高くない?」と思った方は正解です。夫婦共働きでもどちらか1人の単独ローンプランでの購入が、実は、マネー面からは一番のおすすめです。この件はまたの機会に。

竹下 さくら ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士

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たけした さくら / Sakura Takeshita

兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学商学部にて保険学を専攻。損害保険会社の営業推進部および火災新種業務部、生命保険会社の引受診査部門の勤務を経てファイナンシャルプランナーとして独立。個人向けコンサルティングを主軸に講演・執筆を行う。『「奨学金」を借りる前にゼッタイ読んでおく本』(青春出版社)、『「家を買おうかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)など著書も多数。

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