「まちの本屋」がどんどん潰れていく2つの理由

出版不況でもお客増やした「木村書店」の挑戦

ブックセンターから各書店をめぐる、はしご酒ならぬ「はしご書店」をする人もいるそうだ。八戸は、着実に“本のまち”としてにぎわいを見せ始めている。

しかし、町の小さな書店が生き残るのは簡単なことではない。

「ランク配本」という言葉をご存じだろうか。端的に説明すると、「店舗規模によって自動的にランクが決められ、各書店に配本される冊数が決まる制度」だ。木村書店・田中麗子社長は話す。

「どれだけ話題になっても、このシステムが改定されないと町の小さな書店は厳しい。お客様の中には、話題作を求める方も少なくない。20人の予約があったとしても10冊しか入ってこないなんてことはざらです。当然、購入できなかったお客様は、ショッピングモールなどにある全国展開型の店舗に流れてしまう」

「売れる本」を発注できない小型書店

木村書店をひいきにする顧客がいたとしても、求めている話題作が購入できなければ話は別だろう。毎回、話題作や人気作が手に入らないとなれば、顧客流出につながりかねない。

「せめて地方の書店に対して、予約部数くらいは確保してほしい。大型書店で山のように積まれている話題作を見ると悲しくなる」と田中社長が話すように、どれだけ小さな書店が話題になろうとも、規模によって配本数が決まってしまう以上、全国チェーンに太刀打ちするのは至難となる。

また、書籍の問屋にあたる取次店が、書店が注文していない本を勝手に送る「見計らい本」というシステムも、小さな書店にとって悩みの種となっている。求めている本は足りず、求めていない本が届く……運営が厳しくなるのは当然だ。

「町の書店は、きちんと売れ筋の商品も扱いながら独自性を出すことが大切です。売れ筋の商品が売れてくれれば、その分、余力も生まれます。ところが、われわれは売れ筋の商品がない状況からスタートしなければいけない。

幸い、木村書店には及川がいてくれた。彼女が自主的にポップを書き始めてくれたことで、木村書店の風向きは変わりました。ですが、ほかの町の書店が同じようなことをできるかと問われると、難しいところがあると思います」(田中社長)

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