「まちの本屋」がどんどん潰れていく2つの理由 出版不況でもお客増やした「木村書店」の挑戦

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中でも大きな関心を集めている書店が、手描きのポップごと買える「木村書店」だ。一つひとつ丁寧に手書きで作成された、約100種類のポップ付きの本が鮮やかに陳列する店内のポップコーナーは圧巻。

バラエティー豊かなポップが飾られ、“手描きのポップごと買える書店”として注目を集めるように(筆者撮影)

2コマ漫画風のポップ、ストーリータッチのポップなど、バラエティー豊かなポップが飾られ、書店にいる楽しさを思い出させてくれる。“本屋さん”、そう呼びたくなる。

「きっかけはお客様から、『あなたが読んで面白かったものを紹介してほしい』と言われたことでした。書店員の個人的な好みも需要があるのかもしれないと思い、独学でイラストの勉強をしてポップを作成するようになりました」

2017年の夏から手がけ、約2年間毎日ポップを作り続けている及川晴香さんは、優しい口調で振り返る。「ポップを欲しがる方がいるなんて思ってもみなかったです」と笑うが、愛くるしいポップは話題となり、ポップごと本の購入を希望する人が続出。いつしか、“手描きのポップごと買える書店”として注目を集めるようになった。来店者数も、開始以前と比べると1.5~2倍ほどに増えた。

全国から注目される木村書店

「作るときに留意していることは、お客様が自宅の本棚に並べたときに、家族や友人が『面白そう』と手に取ってくれるかどうか。例えば、古典文学のポップの場合、堅いイラストにするのではなく、キャッチーな雰囲気にします。

また、廃墟などの写真集であればホラーゲームなどゲーム好きの人にも刺さるようなイラストにしています。関心の外側にいる人が、「なんだろう?」って手に取りたくなるようなイラストを心がけています」(及川さん)

ポップをきっかけに少しでも本に興味を持ってくれる人が増えたらうれしい――。そう及川さんは続ける。

イラストは人気を呼び、文庫の年間ベストテンなどを載せた書籍『おすすめ文庫王国2019』の表紙に抜擢されるまでに。コミカルな絵がアップされる木村書店の公式Twitterは、2万2000フォロワーを突破するなど、八戸の小さな書店は今や全国区になりつつある。

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