「まちの本屋」がどんどん潰れていく2つの理由

出版不況でもお客増やした「木村書店」の挑戦

限られた素材で勝負をするしかない中で、たまたま及川さんという優秀な料理人がいた――。「ランク配本」などの書店を取り巻く現状を知ると、木村書店をシンデレラストーリーにしてはいけないことがわかる。

「私たちのような小さな書店に対しても本の手配に奔走してくれる真摯な取次店の方もいますが、制度そのものを見直していかなければ町の書店はどんどんなくなっていく」

田中社長が話すように、内容は評価されず店舗の規模で十把一絡げに扱われるような制度があるということを、忘れてはいけない。

だからこそ、書店同士が本を愛する仲間として連携を深めていく八戸市の“本のまち”プロジェクトに期待するところは大きい。

街の中心地にある八戸ブックセンター(八戸市提供)

「3カ月に1回ほど各店舗の書店員が集まって情報交換会をしています。市内の書店でどういった取り組みができるかといったことや、東京をはじめ県外の書店ではどのような取り組みが行われているかなどを話し合います。

書店でしかできないような本との出会いの場を創出している本屋さんがたくさんあることを知ると、焦り半分、新しいことをやりたい気持ち半分、とても刺激を受けます。確かに小さな書店は厳しいです。でも、できることがあるならやっておきたいんですよね」(前出・及川さん)

「本屋さんならではの魅力」を届けたい

八戸ブックセンターでは、書店員が本の魅力を伝えるトークイベントなども行っている。毎年秋には、ブックセンター主催の本づくしのイベント「八戸ブックフェス」が行われるなど、同施設が市内にある書店と市民をつなぐハブ機能としても作用している。敵対するのではなく、町の書店同士がともに盛り上がるために日々、考えている。

「当たり前のことかもしれませんが、本屋さんに行かないと体験できない面白さを作り続けていけたら。今はポップが中心ですけど、本屋に行きたくなるような、本を手に取りたくなるような取り組みをどんどんしていきたいです。そういうときに、1人ではなく、同じ思いを持った本屋があるのは支えになります。これからも本屋さんならではの魅力を届けていければうれしいです」(及川さん)

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