テレビで生き残るのは2~3社 氏家齊一郎・日本テレビ放送網取締役会議長に聞く

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テレビがやるべきテーマ、新しく発掘しなければいけないテーマというのは、やはりある。「ハケンの品格」「女王の教室」「14才の母」などのドラマが当たったが、これらは国民が潜在的に大きな問題だと感じてはいるものの、なかなかオープンにはできないテーマを扱っている。

たとえば「女王の教室」は受験競争を扱っている。受験競争をやれ、それが現実なんだと先生が言うわけだ。みんな本音はそう思っている。何とか自分の子供をいい学校に行かせたいと思うんだ。だけれども、それをなかなかオープンにはできなかった。しかし、ドラマで取り上げると、多くの視聴者が付いた。

「ハケンの品格」「14才の母」もなかなか正面からは取り上げることが難しい今の社会問題をドラマとして取り上げている。こういう問題を取り上げることは、非常に社会的な意義があるし、みんな見てくれる。

今後の基本的なわれわれの番組のつくり方は差別化だ、絶対に均一化じゃないぞと。うちの制作はわかっていると思う。

デジタル化への投資は国がやるべき

――広告が急減する厳しい経営環境の中で、地上デジタルへの移行も進めていかなければならない。特に、地方局の一部には経営が厳しくなっているところも目立ちます。

難視聴地域への中継局設置などは本来、国がやるべき。空港を考えればいい。空港を使うのは各航空会社とそこを利用するお客さん。だったら航空会社が空港を造れ、という議論にはならない。なぜなら空港は公共のものだからだ。放送も同じこと。デジタル化というのは、電波の利用効率をよくするためにやっている。電波の利用効率をよくすれば、これから新しい参入者も出てくる。なのに、そのインフラ投資を今ある放送局がほとんど負担しなければならないのは、本来はおかしいんだ。

――デジタル投資で経営難に陥る地方局が出れば、キー局の立場として、全国ネットを維持していく必要もある。そのために認定持ち株会社により、キー局がローカル局を助けるスキームが認められています。

地方の中には、たとえば東京のキー局よりも給与水準が高いところがある。その地方における給与水準と比べてケタ外れに高いところがある。そういった面で合理化を図っていくのが最初。合理化も行っていないのに助けることはありえない。

(撮影:今井康一)

中島 順一郎 東洋経済 記者

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なかしま じゅんいちろう / Junichiro Nakashima

1981年鹿児島県生まれ。2005年、早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、東洋経済新報社入社。ガラス・セメント、エレクトロニクス、放送などの業界を担当。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などを経て、2020年10月より『東洋経済オンライン』編集部に所属

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山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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