東工大生が考えた「おせっかいな問題集」 ドコモの支援プログラムに集まるスタートアップ①
第2期を迎えたNTTドコモのベンチャー支援プログラム「イノベーションビレッジ」に参加するのは6チーム(イノベーションビレッジの詳細については、関連記事を参照)。起業ブームが広がる中、多数の応募から厳選されただけあって、いずれも個性的なサービスを掲げている。
各チームはいったい何を目指しているのか、その内容を知ることは、現在のスタートアップの傾向をつかむ上で参考になるだろう。そこで各社のビジネスを個別にレポートしていく。第1回は「forEst(フォレスト)」。同社は12年5月に設立された東京工業大学発の学生ベンチャー。現在5名で活動中だ。
同社が開発中の「ATLS(アトラス)」は、受験勉強で「間違った問題を復習したい」「類題を探したい」といったニーズに応えるツール。タブレット端末を用いて、デジタル化された学習参考書と、各種サポート機能によって効率的に学習を進めることができる。同社を率いる後藤匠CEOは東工大の現役大学院生。「勉強が大好き」と語る後藤CEOが目指しているのは、「おせっかいな」学習サービスだ。
学習履歴データを活用
仕組みは次のようになっている。学生はまず、アトラスのサービス上でデジタル化された参考書を購入し、タブレットの画面を見ながら問題を解く。学習方法はこれまでと何ら変わらない。通常の参考書で勉強するように、ノートとペンを使って解答する。
ただし単なる電子書籍の参考書ではない。既存のサービスと異なるのは、学習履歴を基に、さまざまなサポート機能を提供する点だ。いつ、どの問題をどれだけの時間をかけて解いたのか。そして正解したのか、間違ったのか。前回解いた時と比べて時間は短縮できたのか。こうした細かな履歴を蓄積することで学習のアシストを行うのだ。
出版社から参考書データを仕入れて学生に販売することで得られるマージンが売り上げになる。つまり収益モデルは書店に近い。「参考書の価格は紙の参考書と同等、もしくはそれよりも安い価格で提供する予定」(後藤CEO)だ。
サービスを思い立ったきっかけは、受験時の経験から。「勉強の虫のような学生」だった後藤CEOは、試験などで間違えると、悔しいため、すぐに類題を解きたいと思っていた。だが、類似問題を探す手段がない。こうした経験から、「問題を検索できるサービスがあればいいのではないか」と構想を広げてきたという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら