ただ今後、時間が経てば経つほど、トランプ大統領とプーチン大統領がある点で意見が一致していることに金正恩氏が気づいて、愕然とするのではないか。米露両国は、「核の横流し」に対する嫌悪感で一致しているからである。
ロシアは、故金日成国家主席以来、金家にとって縁の深い国である。しかし、核兵器を持つことでアメリカに北朝鮮を警戒させる軍事・政治戦略について、ロシアはアメリカと同様、認めるわけにはいかない。
米露とも北朝鮮の「核の横流し」を阻止する
最近、アメリカのシンクタンクの分析専門家による「金正恩委員長は、10代の若者のような交渉をする」という指摘が、CNNテレビで報じられ、全米の注目を集めた。その若い金正恩委員長が学生としてスイスで過ごした経験があることを、トランプ大統領は知っている。大統領に就任する以前から、トランプ氏は金委員長と会談することを大いに楽しみにしていた。
トランプ大統領は、お膝元のニューヨークで多くのヨーロッパ系不動産王たちと、長年にわたって交渉してきた経験を踏まえて、ヨーロッパの交渉の神髄はサプライズにある、ということを百も承知している。そのヨーロッパを見習って、北朝鮮は、近年、核兵器とミサイルの度重なる実験によって、アメリカを脅し続けてきた。
そんな北朝鮮に対して、ヨーロッパ流のサプライズではなく、交渉という名の平和的な手法が現代のアメリカと世界の要請であることを、トランプ大統領は北朝鮮側に示そうとした、と筆者は分析している。
経済制裁解除に関して、北朝鮮はアメリカの同盟国である韓国と打ち合わせてきたが、それはうまくいかなかった。韓国に冷水を浴びせた形になったのが、今回のハノイ会談の決裂であった。
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