プーチン-金正恩会談に透けるトランプの思惑

北朝鮮の「核の横流し」阻止で米露は一致

ヨーロッパの交渉術がサプライズを多用することを経験的に知っている金正恩委員長は、サプライズ戦略がアメリカ人であるトランプ大統領には通じないと気づくと、その意図を冷静に受け止めた。だからこそ、ハノイ会談直後、金正恩委員長はトランプ大統領を批判するのではなく、韓国の文在寅大統領に対して、仲介者としての資格が無いと厳しく判断したのである。

トランプ大統領がハノイ会談で示したように、北朝鮮は経済制裁下にあっても、情報開示していない工場で、核兵器を作っている可能性がある。これは、アメリカや世界に対して、北朝鮮が「核の横流し」に関与する可能性が大きいことを示している。

現在、経済制裁によって、船舶は北朝鮮に大量に寄り付けなくなっている。そのため、アメリカ側としては、北朝鮮に出入りする船を監視しやすい。しかし、経済制裁を解除すれば、船が増え、「核の横流し」の可能性を含む船のモニターリングが不可能になる。そうなると、漁船などを偽装した「核の横流し」が起こり、北朝鮮の核兵器が中東などのテロリストの手に渡る可能性が、一気に高まり、欧米が危険にさらされる。この「核の横流し」という北朝鮮に内包するハイリスクを危惧しているのは、トランプ大統領だけではない。プーチン大統領も、習近平主席も同じである。

トランプ流交渉術の神髄

トランプ大統領の交渉術について、多くのメディアは個人技に特徴があるとみているが、そうとばかりは言えない。より正確に言えば、ヨーロッパ的なサプライズを最大化したところにあるのではなく、むしろ、サプライズ交渉術のハイリスクな側面を最小化しようとするところに、トランプ流交渉術の神髄がある。

民主党議員の中で最も反トランプと言われるアダム・シフ下院議員でさえ、金正恩委員長に対するトランプ大統領の交渉術には、感服し、敬意を表している。

北朝鮮を「北朝鮮株式会社」と呼ぶメディアはいない。北朝鮮の経済体制が、資本主義でないからだけではなく、リーダーの金正恩委員長による独裁国家だからだ。経済人から観れば、その存在は「ワンマン経営の会社」に近い。そうしたワンマン組織との交渉について、天才ネゴシエーターのトランプ氏はお手の物である。その証拠に、まず、金正恩委員長とサシで交渉することから始めている。

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