「高齢者増の団地」URあの手この手で挑む改革 無印良品やIKEAとのコラボも実施している

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老朽化した賃貸住宅のリニューアルでは、テーマを持たせた部屋作りもされている。例えば無印良品とURのプロジェクト「MUJI×UR」がそうだ。

無印良品とのプロジェクトで企画された部屋(独立行政法人都市再生機構提供)

高島平団地(東京都板橋区)にある「MUJI×UR」の住戸では常盤平団地のリニューアルされた住戸と同じように、間取り変更を行い2DKが1LDKに改装された。

明るい色の塗装や室内洗濯機置き場の設置といった設備の更新のほか、アイランドキッチンが据え付けられていた。また、ほかにも無印良品の製品がマッチするような雰囲気作りがされている。

建て替えた団地もある

この「MUJI×UR」のほかには、北欧系家具の販売店「IKEA」とプロジェクトを組んでコーディネートした部屋、原状回復不要で内装を自由にDIYできる「UR-DIY」などのコンセプトを持った部屋も企画され、実際に貸し出されている。

家具専門店「IKEA」とプロジェクトで企画された部屋(独立行政法人都市再生機構提供)

リニューアルされるのは部屋だけではない。4~5階建てのUR賃貸住宅を建て替えてリニューアルするところもある。

西武池袋線のひばりヶ丘駅から徒歩約10分ほどのところにある「ひばりが丘パークヒルズ」(東京都西東京市・東久留米市)。

元々は1959年から開発された「ひばりヶ丘団地」として4~5階の中層住棟が建ち並んでいた。建て替えは1998年から2012年にかけて行われ、中高層住棟に1504戸が入る。エレベーターの設置や住戸内の段差を少なくすることをはじめとしたバリアフリー化も万全だ。

また、元々のひばりヶ丘団地から住棟の中高層化によって土地が空いたため、一部は民間に売却されている。ここには一戸建て住宅やマンション開発が行われ、若い世代も住むようになった。そして、古い住棟を活用してカフェを中心としたコミュニティー拠点「ひばりテラス118」の開設や、サービス付き高齢者向け住宅への転用を行っている。

「ひばりが丘パークヒルズ」の隣接地に作られたコミュニティ拠点「ひばりテラス118」(筆者撮影)

また、「ひばりが丘パークヒルズ」以外の建て替えでは、空いた土地への商業施設の誘致を行う例もある。建て替えは年月がかかるものの、住戸の魅力を大幅に向上させることができるだけでなく、新たな街づくりができるメリットは大きい。

では、UR賃貸住宅の深刻な高齢化に対し、ソフト面ではどのような取り組みを行っているのだろうか。まず、家賃の優遇施策が行われている。例えば高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)では「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき、国がURに対して住宅の改良および家賃負担の軽減のため補助を行う。

若い世代向けには、契約名義人が35歳未満の場合3年間適用される「U35割」や、最大9年間家賃を20%割り引く「子育て割」といったものもある。

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